アメリカの非製造業の景況データがスタグフレーションの懸念を強めたことを受け、投資家はアメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)から4営業日連続で資金を引き揚げました。SoSoValueによると、11のETFは8月5日に計1億9600万ドル(約294億円、1ドル=150円換算)の純流出を記録し、フィデリティ(Fidelity)のFBTCとブラックロック(BlackRock)のIBITがその大部分を占めました。
資金流出の詳細
4月以来最長となる4日間の流出は、7月31日に1億1483万ドル(約172億2450万円)が流出したことで始まり、8月1日には8億1225万ドル(約1218億3750万円)、4日には3億3319万ドル(約499億7850万円)が流出しました。これにより、投資家の不安が高まっています。
ISM非製造業PMIの影響
5日に発表されたアメリカのISM非製造業購買担当者景況指数(PMI)は、関税によるインフレ、雇用の弱さ、貿易の混乱を示し、いずれもスタグフレーションを示唆しています。これは、テクノロジー株や暗号資産(仮想通貨)を含むリスク資産にとって最悪の事態です。米国株は下落し、ハイテク株中心のナスダック指数は0.7%下落し、4日の上昇分を帳消しにしました。
ビットコインの価格動向
CoinDeskのデータによると、時価総額でトップの暗号資産であるビットコイン(BTC)は一時1%以上下落し、11万2650ドルとなりました。直近の取引価格は11万4000ドル近辺でした。ニュースレターサービス「LondonCryptoClub」の創設者は、非製造業PMI発表後の市場下落を受け、「ISMでスタグフレーションの要因が見られ、リスクが高まっている」と述べました。
FRBの利下げ期待
1日の非農業部門雇用者数統計が労働市場の弱さを示唆する失望的な内容となったため、FRBによる利下げへの期待が高まっています。ブルームバーグによると、FRBの金融政策の予想軌道を綿密に追跡する担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプションは、今年残りの3回の会合で利下げが行われる可能性を示唆しており、2025年には合計75ベーシスポイントの利下げを予想しています。
イーサリアム現物ETFへの資金流入
ビットコインETFからは資金流出が記録された一方、イーサリアム(ETH)現物ETFは7322万ドル(約109億8300万円)の投資家資金を獲得し、2日続いた流出から脱却しました。ステーキング活動とトークンの受領は、一定の条件下では証券提供に該当しないというアメリカ証券取引委員会(SEC)のガイダンスは、イーサリアムETFへの投資家の関心を一気に高めたとみられています。
市場の今後の展望
NovaDius Wealth Managementの社長、ネイト・ジェラシ(Nate Geraci)氏によると、このガイダンスにより、市場規制当局がステーキング機能付きイーサリアム現物ETFを承認することを阻止する最後のハードルがクリアされたとされています。今後の市場動向に注目が集まります。
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