ト2024年度（令和6年度）の全国企業倒産件数が、負債額1000万円以上の企業において1万144件に達し、前年度比で12%増加したことが発表されました。この数字は、2013年度以来11年ぶりに1万件を超えるものであり、特に中小企業における経営環境の厳しさを反映しています。
主な要因
- 人手不足の深刻化: 求人難や人件費の高騰が続く中、「人手不足」に起因する倒産が急増しています。2024年度には、これに関連する倒産件数が前年度比で60%増加し、過去最多の350件に達しました。企業は必要な人材を確保できず、業務運営に支障をきたすケースが増えています。
- 物価高の影響: 原材料やエネルギーコストの上昇が企業経営を圧迫しています。物価高による仕入れ価格の上昇は、特に中小企業にとって大きな負担となり、925件の倒産が物価高を要因として発生しました。これは、全体の倒産件数の約10%に相当します。
- 経済環境の変化: アメリカ政府の関税政策や円安の影響も、企業の経営に悪影響を及ぼしています。これにより、企業はコストの増加に直面し、収益の確保が難しくなっています。
業種別の影響
倒産件数は、サービス業が最も多く2638件（前年比20.6%増）、次いで小売業2109件（同12.5%増）、建設業1932件（同10.5%増）と続きました。特にサービス業では、広告や情報サービス関連の倒産が目立ち、2000年度以降で最多の件数となっています。
地域別の状況
倒産件数は、関東地域が3470件（前年比8.3%増）で最も多く、近畿地域も2595件（同16.2%増）と増加しています。全9地域中8地域で前年を上回る結果となり、特に東北や北陸では顕著な増加が見られました。
新陳代謝の進展
一方で、過剰債務を抱える「ゾンビ企業」が減少し、新陳代謝が進んでいる側面もあります。これは、経済の健全化に向けた一歩とも言えるでしょう。企業は、事業再構築や債務整理を進める必要があり、今後の経営環境の変化に適応することが求められています。
今後の展望
2024年度の企業倒産件数の増加は、物価高や人手不足、経済環境の変化が複合的に影響した結果です。今後も企業は厳しい経営環境に直面することが予想され、特に中小企業にとっては、持続可能な経営戦略の構築が急務となるでしょう。政府や関連機関は、企業支援策を強化し、経済の安定を図る必要があります。
 |  |