20日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時2.83%と、前日比0.065%低下(債券価格は上昇)した。19日に米財務省が米国債の買い入れ消却(バイバック)の増額計画を発表し、米欧の金利が急低下した流れが国内にも波及した形だ。
30年ぶりの高水準からの反転
この急低下の背景には、直前までの急騰がある。日銀の追加利上げ観測や世界の金利上昇を受け、18日には新発10年物国債利回りが一時2.945%と、1996年9月以来およそ30年ぶりの高さを記録していた。この上昇局面では、新発20年、30年、40年国債といった超長期国債にも売りが広がり、20年債利回りは一時3.250%と過去最高水準を更新する場面もあった。
長期金利上昇の要因としては、日銀の早期利上げ観測に加え、高市早苗政権の拡張的な財政運営に対する財政悪化懸念、中東情勢悪化に起因する原油高とインフレへの警戒が挙げられる。米国でも、対イラン戦争での戦費拡大による財政悪化や、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)による巨額の社債発行などを背景に国債の需給が緩むとの見方から長期金利が上昇しており、これが日本にも波及していた。
米財務省のバイバック増額が転機に
19日、米財務省は国債の買い入れ消却(バイバック)拡大を発表した。具体的には、9月9日〜11月4日に残存期間10〜20年、20〜30年の2区分の固定利付債を買い入れ消却する際、1回あたりの上限を従来の最大20億ドルから40億ドル(約6340億円)へ引き上げる。さらに、キャッシュマネジメントのための買い入れ消却も年間上限を1200億ドルから1500億ドルに拡大する。
この発表は市場の想定外であり、7月末の日米協調の為替介入に続くサプライズとして、米長期金利は急低下(債券価格は上昇)した。金融市場では、トランプ政権が金利上昇に対して警戒感を強めているとの見方が出ている。この米国発の金利低下が世界の債券市場に波及し、日本国内でも長期金利の低下につながった。
今後の焦点——3%の節目と財政規律
市場関係者の間では、政府が国内長期金利の節目とされる3%超えを容認しない姿勢を示したとの見方がある。「骨太の方針」原案の文言修正に加え、財務相が家計やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする年金基金による国内投資を後押しする方策の追求に言及したことがその根拠とされる。
一方で、消費税減税については実施に向けて与党が主導しており、2040年までの総額370兆円に上る戦略分野の官民投資計画を含めて財政に対する懸念もあることから、国内長期金利の上昇圧力は残るとみられている。原油高などの状況下で長期金利上昇圧力は続く可能性があり、政府の財政規律配慮の姿勢が今後の焦点となる。
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