日本銀行は2025年6月20日、4月30日から5月1日にかけて開催された金融政策決定会合の議事要旨を公表しました。この会合では、9人の政策委員が米国の関税政策による経済の下振れ懸念を共有しつつも、複数の委員が「これまで同様、政策金利を引き上げていくのが適当」との認識を示しました。
委員たちは、経済・物価の見通しが実現する場合、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整することが適当であるとの見解で一致しました。特に、ある委員は「賃金・物価が上がりにくい頃の状況に戻るリスクは小さい」と指摘し、基調的な物価上昇率が下方に屈折する可能性は低いと述べました。
また、日銀は同会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表しました。この中で、多くの委員が今後の各国の通商政策の動きや企業・家計の対応次第で経済・物価の見通しが大きく変化する可能性があると考えています。特に、サプライチェーンの混乱が長引く場合、基調的な物価上昇率を押し下げる要因となる可能性があると警告しました。
国債買い入れ減額の中間評価についても議論が行われ、ある委員は「日銀が一時的な需給バランスの変化に都度対応すると市場の機能を再び損なってしまう」との懸念を示しました。これにより、日銀は今後の金融政策運営において慎重な姿勢を維持する必要があると考えられます。
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