日本銀行の植田和男総裁は、2025年12月1日に名古屋市で行われた講演で、アメリカの関税政策が日本経済、特に東海地方に与える影響について言及しました。植田総裁は、ここ数カ月の最大の懸念事項であった関税政策について、「悪影響がさほど顕在化していない」とし、先行きの不透明感が薄れてきているとの認識を示しました。
関税政策の影響調査
自動車産業が盛んな東海地方においては、輸出企業の比率が高いため、名古屋支店を通じて関税政策の影響をきめ細かく調査分析していく意向を示しました。これにより、企業の賃上げスタンスや物価動向を踏まえた上で、次回の金融政策決定会合(12月18日から19日開催)での利上げの是非について「適切に判断したい」と述べました。
利上げに関する見解
植田総裁は、企業の賃上げ動向を重視し、情報収集を進めていることを強調しました。また、円安が進行する中で、為替の変動が物価に与える影響が増していることにも留意が必要だと述べました。政策金利の引き上げについては、「緩和的な金融環境の中での調整」とし、景気にブレーキをかけるものではなく、安定した経済・物価の実現に向けたプロセスであると説明しました。
市場では、植田総裁の発言が利上げに向けた前向きな姿勢と受け取られ、金融市場では円が買われる動きが見られました。これにより、次回の会合での利上げが期待されています。

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