日本銀行の植田和男総裁は、2025年9月19日の金融政策決定会合後に記者会見を開き、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)の売却について重要な発表を行いました。
売却完了までの期間
植田総裁は、ETFやREITの売却が完了するまでに「100年以上かかる」と述べ、長期的な視点での売却計画を示しました。この判断は、2024年3月に新規買い入れを終了した後、慎重に検討を重ねた結果であると説明しました。また、金融機関から買い入れた株式の処分が2025年7月に終了したことも、売却判断の一因となったとしています。
市場への影響
植田氏は、売却が市場に与える影響について「市場へのデメリットを小さくする」と強調し、特定の株価水準を念頭に置いた判断ではないと述べました。東京株式市場で日経平均株価が最高値を更新している状況が影響したかどうかについては、明確な答えを避けました。
今後の金融政策
今後の金融政策については、経済や物価情勢の改善に応じて政策金利を引き上げる可能性があるとしつつ、現時点ではETFの再購入は考えていないと明言しました。日銀は、ETFを簿価ベースで年間3300億円、REITは年間50億円のペースで市場に売却することを決定しました。また、政策金利の誘導目標は0.5%程度に据え置くことが決まりました。
経済状況の見通し
植田総裁は、米国経済や雇用、消費の一部に弱めの動きが見られるとし、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが経済を下支えする方向で作用するとの見解を示しました。米国の高関税政策が日本経済に与える影響については、企業収益にマイナスの影響を及ぼしているものの、経済全体への波及は見られないと指摘しました。

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