2025年5月9日、SBIホールディングスは2025年3月期の決算説明会を開催し、代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏が約2時間にわたってプレゼンテーションを行いました。決算の結果、収益(売上高)は前期比19.3%増の1兆4437億円となり、過去最高を更新しました。また、税引前利益は99.4%増の2823億円に達しました。
セグメント別の好調な業績
決算発表によると、5つのセグメントのうち4セグメントで収益が過去最高を記録しました。特に暗号資産セグメントは、収益と税引前利益の両方で過去最高を達成しました。具体的には、暗号資産事業の収益は808億円(前年比+41.4%)、税引前利益は212億円(+151.8%)となり、2期連続で両指標が過去最高を更新しました。
北尾氏は、暗号資産マーケットメイカーの英国B2C2社の成長や、暗号資産取引所での顧客基盤の拡大、新施策の成功がこの成長を支えたと説明しました。特に、国内第1号として電子決済手段等取引業者の認可を取得したSBI VCトレードでは、ステーブルコイン「USDC」の取り扱いを開始し、新サービスの展開が期待されています。
Ripple Labsへの投資とその影響
また、北尾氏はプライベート・エクイティ投資事業におけるRipple Labsの株式についても言及しました。彼は「公開等により明確なバリュエーションが定まるまで、同社がエスクローで保有するXRPの価値は算入しない」とし、Rippleへの投資が大きな含み益を生む可能性があることを強調しました。「公開すれば、1兆円ははるかに超えると思う」と述べ、今後の展開に期待を寄せました。
新中期ビジョンの発表
北尾氏のプレゼンテーションの大部分は、創業30周年に向けた新中期ビジョンの説明に費やされました。2029年3月期までにグループ顧客基盤を5442万件から1億件に、税引前利益を2823億円から5000億円に拡大する目標が掲げられました。このビジョンを実現するためには、顧客基盤や事業資産、資金調達力をさらに拡大し、デジタル領域での取り組みを強化する必要があると述べました。
デジタル領域での取り組み
北尾氏は、デジタルテクノロジーを活用した様々な取り組みを推進するための「デジタルスペース生態系」の構築を目指すとし、特にセキュリティ・トークン(ST)のセカンダリー市場である大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)の取り組みにも言及しました。また、暗号資産ETFの上場についても言及し、日本が世界から取り残されないようにする必要性を訴えました。
メディア関連の新たな取り組み
さらに、北尾氏はメディア関連の取り組みについても触れ、SBIグループがメディア・IT・金融を融合した「ネオメディア生態系」の構築を目指していることを明らかにしました。アメリカのデジタル金融の成長とAIの発展を例に挙げ、SBIも優良なIPを押さえたコンテンツファンドを設立する計画を示しました。
結論
SBIホールディングスの決算発表は、暗号資産事業の成長と新たなビジョンの提示を通じて、今後の成長戦略を明確に示すものでした。北尾氏のリーダーシップの下、SBIグループは日本の暗号資産業界において重要な役割を果たすことが期待されます。決算発表会の詳細は、SBIホールディングスのウェブサイトで確認できます。

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