東京都内で、中国籍の男2人が他人の証券口座を不正に乗っ取り、株価をつり上げたとして金融商品取引法違反(相場操縦)などの容疑で逮捕される事件が発生しました。捜査関係者によると、男らのグループは、標的とした企業の株の売買を約2時間で完了させていたことが明らかになりました。
逮捕されたのは、貴金属輸出入会社「L&H」を経営する38歳の男(川崎市在住)と、職業不詳の42歳の男(東京都江東区在住)です。彼らは仲間と共謀し、3月17日に男女10人の証券口座に不正アクセスし、これらの口座とL社の証券口座を利用して、東証スタンダード上場の人材開発会社の株に大量の売りと買いの注文を出し、株価を不正に操作した疑いが持たれています。
捜査によると、2人は同日午後、まずL社の口座から人材開発会社の株に大量の買い注文を出し続け、株価をつり上げながら約70万株を購入しました。その後、L社の口座と乗っ取った口座の双方を使い、同時に同じ価格で売買注文を出す「なれ合い売買」の手法を用いて、高値で約70万株を売り抜けました。
この一連の取引は、最初に買い注文を出してから約2時間で終了し、人材開発会社の株価は84円から110円まで約30%値上がりしました。2人はこの取引で約860万円の利益を得たと見られています。一方、口座を乗っ取られた10人には合計約1100万円の損失が発生しました。
さらに、不正取引が行われる直前には、L社の銀行口座に別の2つの法人口座などから合計約5000万円の入金があったことも判明しており、警視庁はこの現金が株の購入資金に充てられていたと考え、背後関係を調査しています。

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