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韓2025年10月下旬、参政党の神谷宗幣(かみや・そうへい)代表は、国会内で記者団の取材に応じ、同党として初めて単独で提出した「国旗損壊罪」法案について説明した。
この法案は、日本の国旗を損壊した場合にも刑法で処罰できるようにするという内容で、近年の愛国心や国旗に対する扱いをめぐる社会的議論の中で注目を集めている。
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「日本の国旗を守る法律がない」という現状
現在の日本の刑法では、外国の国旗を損壊した場合は刑法第92条によって処罰の対象となる。
しかし、日本の国旗(日の丸)を損壊した場合を直接罰する法律は存在しない。
この「非対称性」については、以前から保守派を中心に問題視する声があり、SNSや国会でもたびたび議論されてきた。
神谷代表は会見で、「外国の国旗を損壊すれば刑事罰があるのに、自国の国旗を損壊しても何も罰則がない。これは国家としての尊厳の問題だ」と指摘。
「他国の旗を大切に扱うことは当然だが、我が国の旗も同様に尊重されるべき」と語った。
法案提出のきっかけ:「あの時の出来事を忘れない」
神谷氏は、2022年の参議院選挙期間中に起きたある出来事を挙げた。
当時、参政党の街頭演説中に、反対する一部の市民が「日本国旗にバツ印をつけて掲げる」という抗議行動を行ったという。
「日本の象徴である国旗に対して、あのような侮辱的な行為が堂々と行われた。国家への冒涜と言っても過言ではない」と神谷氏は振り返る。
この出来事をきっかけに、党内で法整備の必要性を検討し、専門家や法律関係者と協議を進めてきたという。
「そのときから準備は始まっていた。単なる政治的パフォーマンスではなく、長年の議論の積み重ねの結果として法案提出に至った」と強調した。
自民・維新との関係 「先に出せる体制が整っていた」
今回の「国旗損壊罪」法案は、自民党や日本維新の会が来年の通常国会での提出を検討している内容と一部重なる。
しかし、参政党としては「独自の理念のもとで先に動いた」という立場を明確にしている。
神谷代表は、「我々が先に提出したのは、他党への対抗意識ではない。単に準備が整っていたということ」と説明。
「むしろ、このテーマに関しては協力できる政党と連携していきたい」として、今後の共同提出や修正協議にも前向きな姿勢を見せた。
また、参政党としては、「国旗を守る=愛国心を育む社会づくり」という理念を重視しており、教育や地域活動にもつながる取り組みを検討中だという。
表現の自由とのバランス
一方で、「表現の自由」をめぐる議論も避けて通れない。
国旗を燃やす、踏みつけるなどの行為が「政治的表現」にあたる可能性があるため、
「罰則を設けることは憲法で保障された表現の自由を制限することにならないか」という懸念もある。
神谷代表はこの点について、「表現の自由も公共の福祉によって制約を受ける。
国旗を損壊する行為は、多くの国民の感情を深く傷つけ、社会秩序を乱す可能性がある」と述べ、
「自由と秩序のバランスを取るための法制度として位置づけたい」と語った。
また、海外でも同様の法律は一般的であり、
「欧米諸国の多くでは自国の国旗を侮辱する行為を刑罰の対象としている」と説明。
日本でも国際的な基準に沿った形で法整備を進めるべきだとした。
戦後教育の影響に言及
さらに神谷氏は、「なぜ日本では国旗を守る意識が薄いのか」という質問に対し、
「戦後の教育の中で、国家や国旗に対する誇りを持つことが否定的に扱われてきた影響があるのではないか」と言及。
「自分の国を愛することは悪いことではない。
むしろ国際社会の中で尊敬される国になるためには、自国の象徴を大切にすることが必要だ」と強調した。
今後の課題と見通し
法案の内容は、刑法92条を参考にしたもので、
国旗およびこれに準ずる旗(政府機関や公的団体が使用する旗など)を損壊・汚損・侮辱した場合に刑罰を科すことを想定している。
ただし、対象の範囲や罰則の重さについては今後の国会審議で議論される見通しだ。
神谷代表は「どのような行為を“損壊”とみなすか、
また公共性を持つ団体の旗をどこまで含めるかなど、詳細は慎重に検討していく」と述べた。
「国旗を守るというのは、単なる刑罰の問題ではなく、国民一人ひとりの意識の問題でもある。
この法案を通じて、“自分の国を大切にする心”を社会全体で取り戻したい」と締めくくった。

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