【韓国】偽物ラブブから発がん性物質を検出 基準の約300倍 健康被害の懸念高まる

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韓国関税庁は、2025年上半期に摘発した偽物輸入品のうち、中国製のキャラクター「ラブブ」のキーホルダーから、国内基準の約344倍に達する発がん性物質が検出されたと発表した。
単なる知的財産侵害の問題にとどまらず、健康被害の可能性をはらむ深刻な事態だ。
「かわいいキャラクター」がもたらす癒しの裏で、見えない化学リスクが広がっている。


関税庁の調査で明らかになった“異常値”

発表によると、韓国関税庁は上半期に約60万点以上の模倣品を押収。そのうち人気キャラクターグッズなど一部製品の成分を分析したところ、中国製のラブブの偽物キーホルダー5点中2点から、発がん性物質であるフタル酸エステル類が基準の344倍に達する濃度で検出された。

フタル酸エステルは、プラスチック製品の柔軟性を高めるために添加される化学物質で、人体への影響が懸念されている。長期間皮膚に接触すると、ホルモン分泌の異常や肝機能障害、さらには発がん性リスクが指摘されており、欧州連合(EU)や韓国、日本などでは厳しい使用制限が課されている。

特に今回検出された値は、子ども向け玩具や雑貨における安全基準を数百倍上回るものであり、「単に触れるだけでも安全とは言えないレベル」(韓国国立化学安全研究院)とされる。関税庁の報告書は、「家庭内での長時間接触や口への接触により、有害物質が体内に吸収されるおそれがある」と警告している。


偽物流通の温床、中国の格安製造とSNS販売

問題の発端となった偽物商品は、中国のオンラインモールや越境ECサイトを経由して韓国に大量流入していた。正規品に酷似したデザインながら、価格は半額以下というものが多く、若者や子ども向けの雑貨店、屋台などで手軽に購入できる。
また、SNSやライブコマースを通じて販売されるケースも増えており、「見た目が可愛い」「安い」と人気を集めていた。

韓国国内の流通関係者によると、こうした偽物の多くは中国広東省や浙江省など、低コストで大量生産が可能な地域の工場から出荷されている。
「正規ライセンスを持たない業者が、人気キャラクターのデザインを模倣し、粗悪な素材で短期間に大量製造している。品質検査を経ていない製品も多く、成分管理はほぼ行われていないのが実情」(ソウルの貿易業者)

関税庁は2025年上半期だけで、約60万点の模倣品を押収したと発表しているが、これは氷山の一角にすぎない。
オンライン取引が国境を越えて拡大する中、各国の規制や検査体制が追いつかず、「見えない化学リスク」が拡散している。


「ラブブ」人気が招いた“模倣ビジネス”

「ラブブ」は、柔らかなフォルムと癒し系の表情で若者を中心に人気を集めるキャラクター。韓国ではぬいぐるみやキーホルダー、アパレル雑貨まで幅広く展開され、街の雑貨店では品薄が続く。
その人気は日本にも波及しており、SNSでは「癒やしキャラ」「推し活アイテム」として注目を集めている。

しかし、ブームの急拡大により、正規ライセンス管理が追いつかないまま偽物市場が急成長した。
中国の製造業者がデザインを模倣し、ブランドロゴを微妙に変えた“コピー商品”を大量に生産。こうした製品が韓国や日本の消費者に安価で出回る構図ができている。
その一部には、今回のような高濃度の化学物質を含む粗悪品も混在している。

韓国の消費者保護団体は、「模倣品を購入することは健康リスクだけでなく、犯罪行為への加担にもつながる」と警告。
実際、模倣品製造の裏には、違法労働や安全基準の無視、廃棄物の不法投棄といった構造的問題も存在する。


韓国政府の対応:「健康を脅かす知的財産犯罪」

韓国関税庁は、「模倣品は知的財産の侵害にとどまらず、消費者の安全と健康を直接脅かす」との声明を発表。今後は人気キャラクター製品を中心に、輸入段階での化学物質検査を強化する方針を示した。
また、ECプラットフォーム運営企業に対しても、出品商品の出所確認と通報体制の整備を要請している。

当局関係者は、「偽物の根絶には国際的な連携が不可欠。韓国だけでなく、製造国である中国側との協力体制の強化が必要」と述べている。
一方で、中国国内では模倣品の摘発が難航しており、実質的な取締りが機能していない現状も指摘される。
つまり、韓国側がどれほど検査を強化しても、“発生源”が放置されている限り、根本的な解決は難しい。


日本でも警戒が必要 「安さ」に潜む危険

日本でも「ラブブ」関連商品が人気上昇中であり、韓国の事例は対岸の火事ではない。
近年、通販サイトやフリマアプリには「非公式グッズ」として明らかに中国から輸入された商品が多数出品されている。
SNS上では、「匂いが強すぎる」「塗装が剥げる」「肌がかゆくなった」といった報告もあり、専門家は「韓国と同様の化学汚染が起きている可能性」を指摘している。

日本では玩具や生活雑貨に対する化学物質規制が比較的厳格であり、フタル酸類の使用が確認された場合は行政処分の対象となる。
しかし、海外通販を通じて個人輸入された商品は検査対象外となる場合も多く、購入者自身が危険を見抜くことは難しい。
経済評論家の古賀氏は「見た目のかわいさや価格に惑わされず、正規販売ルートを選ぶことが最も有効な“自己防衛”」と述べる。


「かわいい文化」の裏側にある現代的リスク

「キャラクター文化」は世界的なソフトパワーの象徴として広がってきたが、その裏側では模倣品ビジネスが巨大化し、健康・環境問題へと発展している。
今回の事件は、グローバル化が生み出した“影の産業構造”を象徴している。
消費者の無意識な購買行動が、知らず知らずのうちに非正規労働や有害化学物質の拡散を支えてしまう構図は、もはや倫理の問題でもある。

韓国関税庁の調査担当者は記者会見でこう語った。

「模倣品の問題は単なる法律違反ではなく、次世代の健康と安全を脅かす社会問題だ。私たちは“かわいい”という言葉の裏に潜む現実を直視すべきだ。」


安価な模倣の代償を誰が払うのか

「安い」「すぐ届く」「見た目が同じ」――。その裏で使われている原料や化学物質まで気にかける消費者は少ない。
だが今回の事件は、そうした油断の先に“発がん性物質”という現実が待っていることを示した。

人気キャラクターのブランド力を守ることは、単に企業の利益ではなく、消費者の健康と信頼を守ることにつながる。
一人ひとりが正規ルートの商品を選び、模倣品を拒む姿勢を持つことが、最も確実な安全策となる。

見た目は同じでも、中身はまったく違う――。
その違いを見抜く「目」を持てるかどうかが、これからの時代のリスク回避力を決める。

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