【外交ギフト】韓米・韓中首脳で交わされた「贈り物」に込められた本音

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Politics

外交の舞台では、一つの贈り物が国の姿勢や関係性を象徴する。華やかな笑顔の裏で、贈答品に込められた意味を読み解けば、政治的メッセージや微妙な力関係が見えてくる。
今回注目されたのは、韓国大統領がトランプ前米大統領と習近平国家主席にそれぞれ贈った「象徴的な贈り物」だ。表面上は友好を示す品々だが、その背後には、皮肉と計算、そして韓国の外交的立ち位置の難しさがにじむ。

トランプへの「王冠」贈呈──友好のはずが

韓国側がトランプ前大統領に贈ったのは、慶州で出土した古代新羅王の金冠のレプリカと、韓国最高位の勲章「ムグンファ大綬章」。いずれも国家的象徴であり、大統領府が公式に発表している。
本来であれば、古代の栄華を象徴する文化財の贈呈は、伝統を重んじる国としての誇りを示す行為だ。しかし、アメリカ国内ではこの贈り物が思わぬ波紋を呼んだ。

ニューヨーク・タイムズをはじめとする米メディアは、「自らを“キング(王)”と称してきたトランプに、韓国は“王冠”を贈った」と報道。これが「皮肉な贈り物」として一斉に取り上げられたのだ。
当時アメリカでは「No Kings(王は不要)」をスローガンに、トランプの権威主義的姿勢に抗議するデモが各地で行われていた。そんな中で王冠を贈るという構図は、まるで抗議の矢面に立つ人物を揶揄するようにも見えた。

SNS上では、「タイミングが最悪」「皮肉を理解していないのか、わざとなのか」といったコメントが相次ぎ、アメリカのコメディ番組ではトランプが王冠を被る合成映像まで流された。
韓国国内では「文化的誇りを侮辱するな」という反発の声も上がり、外交の意図が誤って伝わる結果となった。

それでも韓国政府関係者は、「古代の新羅王朝の遺産は韓国の象徴であり、友好の印としてふさわしい」と説明。だが、国際社会はそれを単なる文化交流として受け止めなかった。
トランプ自身も贈呈式で笑みを見せつつも、どこか居心地の悪そうな表情を浮かべていたと報じられている。

ムグンファ大綬章の授与

もう一つ注目を集めたのが、韓国がトランプに授与した「ムグンファ大綬章」だ。
本来これは、韓国大統領またはその配偶者、あるいは友好国の国家元首クラスにのみ与えられる極めて格式高い勲章である。外国の現職大統領に贈られるのは極めて異例で、韓国政府の「過剰な厚遇」との批判も出た。

韓国メディア「朝鮮日報」によれば、授与は「米韓同盟の揺るぎない絆を象徴する」との意図だったという。だが、トランプの政治スタイルを考慮すると、むしろ「個人崇拝の助長」と捉えられかねない。
実際、トランプはその場で「これを今すぐつけてもいいか」と冗談めかして発言し、会場を笑わせたが、その裏には「王としての自分」を意識する姿が透けて見えたとする報道もある。

トランプ側からの返礼──“無名選手のバット”

一方、トランプ側が返礼として贈ったのは、ワシントン・ナショナルズの若手選手、ディラン・クルーズのサイン入りバットとボール。野球を通じた友情を象徴するギフトとして紹介されたが、米国内では「釣り合いが取れていない」との声も上がった。

米スポーツ紙は、「スター選手でもない無名の二年目選手のサイン入りバットを、同盟国の大統領に贈るのは不誠実だ」と批判。韓国国内でも「王冠と勲章に対してバットとは…」と落胆の声が広がった。
贈り物の内容があまりにも対照的だったことから、「米韓関係の温度差がそのまま形になった」とする専門家もいる。

政治アナリストのイ・ヨンホ氏は「韓国側の“文化的敬意”に対し、アメリカ側は“娯楽的象徴”で応じた。そこには同盟国間の心理的距離が表れている」と指摘する。
贈り物の価値は物質的ではなく、象徴的な意味にある。そうした観点から見れば、今回の交換は韓国側にとってやや空回りした印象を残した。

習主席への贈り物──囲碁で結ぶ

続いて、韓国大統領が習近平国家主席に贈ったのは、本榧(ほんかや)で作られた囲碁盤と、螺鈿細工の真珠母円形盆
本榧は希少な高級木材であり、囲碁盤としては最高級品。さらに螺鈿細工は、真珠母を用いた伝統技法で、韓国の職人技の粋を集めた美術工芸品だ。

両首脳がともに囲碁を嗜むこと、そして2014年の習主席訪韓時に韓国側が碁石を贈っていたという過去の経緯を踏まえ、「継続する友情」を象徴した贈り物とされる。
外交的には、米中の間で揺れる韓国が「文化と伝統による中立的メッセージ」を送った形だ。

中国メディアは「文化を通じた温かい交流」と好意的に報じたが、習主席の反応は一筋縄ではいかなかった。韓国側の“柔らかな外交ジェスチャー”に対し、中国側は一転して“デジタルな返礼”を選んだのだ。

習近平からの贈り物──「シャオミのスマートフォン」

習主席が韓国大統領夫妻に贈ったのは、中国メーカー「Xiaomi(シャオミ)」のスマートフォン2台。
これはただの最新機種ではなく、中国の技術力を象徴する“国家ブランド”の象徴でもある。だが、贈呈の際に習主席が放った一言が、会場の空気を変えた。

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その場は笑いに包まれたが、皮肉を交えたこの言葉に、外交筋は静かにざわめいた。

背景には、米中対立の中で激化する「通信機器の安全保障問題」がある。韓国は米国寄りの立場を取りつつも、中国経済への依存が深い。習氏の冗談には、韓国に対する牽制のニュアンスがあったと見られている。

韓国国内では、「文化と伝統で応じたのに、テクノロジーと皮肉で返された」と受け止められ、メディアの中には「まるで“外交版ジョーク”だ」とする論評もあった。
それでも韓国政府は「両国の親交を象徴する贈答」と強調し、波風を立てない対応に終始した。

贈り物が映し出す、韓国外交の「二重構造」

トランプには王冠と勲章、習近平には囲碁盤と螺鈿細工。表面的にはどちらも礼を尽くした品々だが、対照的な反応がそれぞれの外交構造を浮き彫りにした。

米国には「伝統」と「敬意」を、中国には「文化」と「継承」を――。
しかし結果として、前者は皮肉の対象となり、後者は冗談交じりの軽口で片づけられた。いずれも、韓国が二大国の間で苦心してバランスを取る姿を象徴している。

韓国外務省関係者は匿名を条件にこう語った。
「どちらにも傾きすぎず、文化を通じて“中間点”を示すことが狙いだった。しかし、米中双方の文脈でどう受け取られるかまでは制御できなかった」

“外交の贈り物”は、笑顔の裏で国の立場を語る

外交儀礼における贈り物は、単なる形式ではない。それは、国家が相手に何を伝え、どう見られたいかという意思表明でもある。
トランプへの王冠と習近平への囲碁盤――その二つの贈り物は、韓国が米中の間で「文化」を武器に模索する独自の外交戦略の一端を物語る。

だが、そのメッセージが必ずしも意図どおりに伝わるとは限らない。
トランプの王冠は笑いの種に、習主席のスマートフォンは冗談の的に。
結局のところ、外交とは“贈り物”のように見えても、そこには常に計算と皮肉が潜んでいる。

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