都営地下鉄工事で談合疑惑 公取委が6社と東京都交通局に立ち入り検査 ― 東鉄工業・坪井工業など

※本サイトはプロモーションが含まれています
※本サイトはプロモーションが含まれています
Politics

 東京都が運営する都営地下鉄の工事をめぐり、入札に不正な談合の疑いが浮上した。
2025年11月11日、公正取引委員会(公取委)は、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、東京都交通局が発注する工事の入札に関与したとされる東鉄工業(新宿区)や坪井工業(中央区)など計6社に対して立ち入り検査を実施した。

さらに、発注側である東京都交通局本体にも立ち入り検査が入るという異例の事態に発展している。
公取委は、発注担当職員が談合に関与した可能性もあるとみて、詳細な調査を進めている。


■ 談合の疑いが持たれる都営地下鉄6路線の工事

問題となっているのは、東京都交通局が発注する都営地下鉄6路線(三田線・浅草線・新宿線・大江戸線など)に関する工事である。
関係者によると、少なくともここ数年にわたり、特定の企業が工事を分担・調整して受注していた
疑いが持たれている。

たとえば、三田線の特定区間はA社、浅草線の設備更新はB社、新宿線はC社――というように、あらかじめ路線ごとに受注予定企業を決める形で“順番制”のような受注調整が行われていたというのだ。

さらに2024年度以降には、特定の1社しか入札に参加しないケースが続出
中には、予定価格の99.9%という極めて高い落札率で契約が成立した事例も確認されている。
これは、事実上「競争が働いていなかった」ことを示す数値であり、談合の典型的な兆候といえる。


■ 東京都交通局にもメス 内部関与の可能性

今回の立ち入り検査では、単に施工会社6社だけでなく、東京都交通局にも調査が及んでいる点が極めて重要だ。
通常、発注機関への立ち入りは、業者間の談合を超えて、行政内部の情報提供や受注調整への関与が疑われる場合に限定される。

つまり、単なる「企業側の癒着」ではなく、東京都職員の一部が不正を黙認、または積極的に関与していた可能性があるということだ。
もしそれが事実なら、都政全体の信頼を大きく揺るがす問題となる。


■ 小池都知事「都民の信頼を損なう重大な事態」

小池百合子都知事は11日の取材で、次のように述べた。

「都の職員が受注調整に関与した可能性もある。もしこれが事実であるならば、都政に対しての都民の信頼を損ないかねない重大な事態である。」

小池知事はただちに**「関係局による調査特別チーム」を設置し、内部調査を集中的に実施するよう指示**した。
都庁関係者によると、調査チームは交通局、財務局、監察部門など横断的に構成され、過去数年間の入札記録、職員の接触履歴、メール通信ログなども調査対象になるという。

知事は「再発防止と徹底した透明化を最優先に」と強調し、都政の信頼回復に向けた危機管理対応を進めている。


■ 都営地下鉄事業を支える「都交通局」とは

東京都交通局は、都営地下鉄をはじめ、都営バスや日暮里・舎人ライナーなどを運営する組織で、年間予算規模は約6,000億円にのぼる。
中でも都営地下鉄の工事・改修事業は、年間数百億円単位の巨大な公共発注であり、土木・設備関連企業にとっては安定した収益源となっている。

こうした「官製発注」は、公共性が高い一方で、長期的な取引関係が固定化しやすく、談合の温床になりやすい
過去にも国や自治体の交通インフラ事業で同様の事例が相次いでおり、今回の都営地下鉄談合疑惑もその延長線上にあるとみられている。


■ 公正取引委員会の調査と今後の焦点

公取委は今回の立ち入り検査で、各社の社内文書や電子データを押収し、受注調整の経緯や指示系統を徹底的に洗い出す構えだ。
調査の結果、談合が事実と認定されれば、独占禁止法違反として課徴金の支払い命令が出される可能性がある。

また、悪質と判断された場合には、刑事告発も視野に入る。
特に都職員が関与していた場合は、官製談合防止法違反に問われる可能性もあり、処分や刑事責任の追及は避けられない。

今後の焦点は以下の3点に集約される。

  1. どの路線・工事で談合が行われたのか
  2. 東京都交通局内部の関与がどの程度あったのか
  3. 小池都政の再発防止策が実効性を持つか

■ 都民の信頼を取り戻せるか

東京都はこれまで、「透明な入札制度」「情報公開の徹底」を掲げてきた。
しかし今回の事件は、その信頼の根幹を揺るがすものとなっている。
公共事業の公平性、公務員倫理、そして都政全体のガバナンスが問われている。

小池都知事が掲げる「クリーンな都政」が、今まさに試されている。

PR
moomoo証券