現代自動車グループ、フィジカルAI企業への転換を加速

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現代自動車グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)会長は7月下旬、米国で韓国政府が開いた投資行事で「従来の自動車製造の境界を越え、フィジカルAI企業へと転換する」と宣言した。同グループは自動運転とロボティクス、AIファクトリーを基盤に、個別機器と工場はもちろん、都市全体をつなぐ統合知能化システムの実現を目指している。

フィジカルAIビジョンの全体像

鄭会長は米サンフランシスコで開かれた「サンフランシスコAIサミット」で、現代自動車グループが追求するフィジカルAIの段階的な構想を説明した。まず自動車やロボットのような個別デバイスの知能化から始まり、AIファクトリーのような特定空間の知能化を経て、最終的には都市インフラ全体が有機的に連結・運営される「都市レベルの統合知能化」を実現するという。

同グループの差別化された競争力として、世界最高水準の製造能力とロボティクス技術を挙げ、これらを有機的につなぐ「データ好循環構造」(Data Flywheel)を提示した。グローバル生産拠点の運営経験や品質管理、サプライチェーン運営のノウハウを基盤に、AI技術を実際の製品とサービスに迅速に適用できる点が強みだとしている。

米テック企業との協業

現代自動車グループはグローバルビッグテックとの協力を積極的に進めている。

  • エヌビディア:ロボットレファレンスプラットフォームを共同構築。研究用ロボットモデルと標準化されたハードウェア・ソフトウェア環境を整備し、スタートアップや大学、研究所などが自由に技術を開発・検証できるようにする。鄭会長はエヌビディア本社を訪問し、ジェンソン・ファンCEOと会談した。
  • ウェイモ(Waymo):2024年に戦略的パートナーシップを締結。現代自が自動運転に特化した仕様を適用したSUV「アイオニック5」をウェイモに提供する計画だ。
  • グーグル・ディープマインド:傘下のボストン・ダイナミクスが戦略的パートナーシップを締結し、次世代ヒト型ロボット(ヒューマノイド)開発を加速する。

国内1兆円投資と「セマングムAIバレー」

これらのAI活用構想を実証する拠点となるのが、韓国南西部のセマングムと呼ばれる干潟地帯に築く産業都市、通称「セマングムAIバレー」だ。現代自動車グループは2026年から国内に約1兆円を投じ、水素インフラも備えた産業都市を建設する計画である。

同グループは2026年から2030年までの5年間で韓国国内に125兆2000億ウォン(約13兆円)を投資する計画も発表しており、フィジカルAI関連の投資はその中核をなす。また、約5兆8000億ウォンを投じて5万基のGPUを導入するAIデータセンターや、ロボット工場の建設も進めている。

全社的なAI転換(AX)の進捗

現代自動車グループは2019年から段階的にデジタル転換(DX)を推進し、それを基盤に全社的なAI転換(AX)を加速させている。2026年8月12日に開かれた「AX成果発表会」では、具体的な成果が示された。

  • 研究開発:衝突試験の結果分析にAIを活用し、事例探索と分析資料の検討時間を約90%短縮
  • 製造:車両識別番号(VIN)をAIが自動判読する「AI自動化認識サービス」を国内外約70の生産拠点に適用し、年間約52億ウォンのコスト削減
  • 生産ライン:AIによる大車の移動経路最適化で、不必要な生産中断時間を86%削減
  • サービス:LLM(大規模言語モデル)ベースの整備支援AIで対応時間を42%短縮、顧客レビュー対応は85%以上をAIで処理

社内の生成AIプラットフォーム「Hチャットプロ」は利用者が3万人を超え、現代自動車・起亜の一般・研究職従業員の約80%が利用している。鄭会長自身も直接コーディング教育を要請するなど、経営陣の積極的な関与が進む。

自動車偏重からの脱却

現代自動車グループは、こうした取り組みを通じて自動車偏重の事業構造を変革しようとしている。鄭会長は「AIを最も多く使う企業ではなく、世界でAIを最も正しく活用する企業になる」と述べ、フィジカルAI時代に向けた準備を進めている。ボストン・ダイナミクスの企業価値は約3兆2000億円と評価され、2021年の買収時と比較して約24倍に急騰しており、ロボティクス分野での成長がグループ全体の変革を牽引している。

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