中国の新築住宅価格、57都市で下落し市場低迷が継続

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中国国家統計局が9月15日に発表した最新の不動産統計によると、2025年8月時点で調査対象となる全国70都市のうち、57都市(全体の約81%)で新築住宅価格が前月比下落しました。7月時点では60都市での下落でしたので、今回の発表では減少したとはいえ、依然として大多数の都市で価格調整が続いています。

特に注目すべきは、27カ月連続で半数以上の都市が値下がりしているという事実です。これは単なる短期的な景気後退ではなく、中国全体の住宅需要構造の変化や、過去の不動産バブル期に積み上げられた供給過剰が根強く影響していることを意味します。

不動産市場と財政金融システム

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上昇都市9、横ばい都市4 一部で底打ちの兆しも

全体としては下落基調が続くものの、今回の統計では価格が上昇した都市が9都市に増加し、7月の6都市から拡大しました。横ばいとなった都市も4都市あり、全ての都市で下落しているわけではない点に注目が集まります。

上昇が見られた都市の中には、産業集積や人口流入が比較的強い地域も含まれています。これは、政府による住宅購入支援策やローン金利の引き下げが一部の市場で効果を発揮し始めている可能性を示しています。ただし、上昇幅は限定的であり、全国的な価格押し上げ要因とはまだなりにくいのが現状です。

70都市全体の価格変化率を単純平均すると前月比で0.3%の下落となり、依然として下押し圧力が強い水準です。こうしたデータは、不動産市場の局所的な回復と全国規模での低迷が同時に存在していることを示しています。


中国不動産市場の低迷を引き起こす主な要因

中国不動産市場が長期にわたり低迷している背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。主な要因を整理すると以下の通りです。

  1. 不動産大手の債務危機
    恒大集団や碧桂園といった大手デベロッパーが債務不履行に陥り、建設中の住宅の引き渡し遅延が各地で発生。これにより消費者心理が大きく冷え込み、購入意欲が減退しています。
  2. 金融規制の影響
    中国政府は不動産市場の過熱を防ぐために金融規制を強化しました。融資の上限設定や借入条件の厳格化により、住宅ローンの利用が難しくなり需要が抑制されています。
  3. 人口動態の変化
    地方都市では人口減少や若年層の流出が進み、住宅需要が根本的に弱まっています。特に三線都市や四線都市では、供給過剰と需要減少が同時に進み、価格下落に拍車をかけています。
  4. 投資需要の縮小
    かつては「不動産は必ず値上がりする」という期待から投資目的の購入が多く見られましたが、近年はその前提が崩れ、資金は株式や債券、海外資産に流れているのが実情です。

中国経済の謎

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今後の見通し:回復は限定的か

今後の中国不動産市場については、専門家の間で意見が分かれています。楽観的な見方では、金融緩和と購入支援策が功を奏し、主要都市を中心に価格が徐々に安定していく可能性があります。しかし、慎重な見方では、人口減少や不動産在庫の過剰といった構造的問題が解消されない限り、全国的な回復は難しいとされています。

さらに、不動産市場の低迷は中国国内にとどまらず、鉄鋼や建材など関連産業、さらには世界経済に波及する可能性があります。投資家にとっては、中国の住宅価格動向をウォッチすることは、株式市場や為替市場の変動を読むうえでも不可欠です。


まとめ

今回の統計からは、中国の不動産市場が依然として厳しい状況にあることが明らかになりました。70都市のうち57都市で価格が下落し、27カ月連続で半数以上の都市が値下がりしていることは、構造的な需要減少や金融環境の厳しさを反映しています。一部では上昇や横ばいの動きも見られるものの、それは局所的なものであり、全国的な回復にはまだ時間がかかると考えられます。今後も政府の政策対応や人口動態の変化が市場にどのような影響を与えるかを注視する必要があり、不動産のみならず投資や経済全体の先行きを見極める上で重要な指標となるでしょう。

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