埼玉県狭山市に本社を置く半導体新興企業、ノベルクリスタルテクノロジー(NCT)は、次世代素材を使用した電圧制御用半導体を開発したと発表しました。この新しい素子は、従来の製品に比べて電力効率を3.2倍に向上させ、耐圧性能は現在普及している炭化ケイ素(SiC)製品と同程度に達しています。2030年代の実用化を目指し、再生可能エネルギー発電所や配電網の変電設備での導入が期待されています。
この新しいパワー半導体は酸化ガリウム(Ga2O3)を用いており、単位面積当たりの電力性能が他の研究機関が発表した過去最高値を上回っています。これまでの課題であった、素子に電流を流すと終端部分に負荷がかかり壊れてしまう問題を解決するため、ノベルクリスタルは終端に不純物のマグネシウムを注入し、電圧が集中するのを防ぐ技術を採用しました。
酸化ガリウムは、既存のシリコンやSiCよりも高い電圧や大電流に耐える特性を持っていますが、製造コストはSiCに比べて高いのが現状です。今後は、素子の電力性能をさらに向上させるとともに、基板の大型化にも取り組み、製品化を目指す方針です。開発には国の補助金を活用し、同社に出資する三菱電機などとの協力も進めています。

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