2025年1月28日、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、老朽化した下水道管が原因とされています。この事故は、全国的に問題となっている上下水道管の老朽化によるトラブルの一例であり、私たちの生活に直結する重要な課題を浮き彫りにしました。この記事では、八潮市の事故をきっかけに、上下水道管の老朽化問題とその影響、そして今後の対策について考えていきます。
老朽化による上下水道管のリスク
近年、上下水道管の老朽化が全国各地で深刻な問題となっています。特に、鉄道や道路などと同様、地中に埋設されている水道管は、時間とともに劣化し、事故やトラブルが発生しやすくなります。例えば、2025年2月12日には、大阪府堺市で水道管の腐食による漏水トラブルが発生しました。堺市では年間650件もの漏水が報告され、その多くが家庭用の給水管から起きていると言われています。これらのトラブルも老朽化した水道管が原因であり、特に地下に埋設されている給水管は外部からの影響を受けやすいのです。
上水道管と下水道管の違い
上水道管と下水道管は、役割や耐用年数、材質が異なります。上水道管は、私たちの生活に必要な飲料水や生活用水を供給するため、地中の浅い部分を通ります。材質としては鉄やポリエチレンが使用され、耐用年数は約40年程度です。一方、下水道管は汚水を排出するために、上水道管よりも深い場所を通ります。材質にはコンクリートが使用され、耐用年数は約50年となっています。
両者の違いを知ることは、老朽化が進行している箇所やそのリスクを理解するうえで重要です。例えば、道路陥没事故が発生した場合、それが上水道管か下水道管かを判断するための手がかりになります。
事故の影響と対策
老朽化した水道管の破損事故は、実際に年間2万件以上発生しており、交換費用は1kmあたり約2億円に達します。このような事故が続けば、当然、税金や水道料金の値上げを避けることは難しくなります。浦上拓也教授は、将来的に必要な費用を将来世代に先送りしないためにも、私たち一人ひとりが今から水道料金の理解を深め、必要な負担を受け入れる姿勢が大切だと訴えています。
未来の水道事業への提案
浦上教授は、特に人口減少が進んでいる地域では、複数の市町村が統合して水道事業を広域化することが重要だと指摘しています。さらに、給水車を利用して水を運搬する方法も一つの解決策として挙げています。技術の進歩も重要で、AIを活用した「宇宙水道局」というサービスでは、衛星データを解析して水道管の漏水リスクを可視化し、効率的な管理を実現しようとしています。
これらの提案は、将来的に水道事業を持続可能にし、私たちの生活に欠かせない水の供給を守るための有力な方法となるでしょう。
私たち市民の役割
水道管の問題は、私たちの生活に密接に関わっています。そのため、私たち市民がもっと関心を持ち、積極的に協力することが求められています。上下水道の維持管理は、私たち一人ひとりの理解と協力がなければ成り立ちません。今後の課題に対してどう向き合うかが、次世代にどれだけ健全なインフラを引き継ぐかに影響を与えるのです。
水道料金の値上げや老朽化したインフラの改修には、時間と費用がかかりますが、私たちの未来を守るために、この問題から目を背けず、理解を深め、必要な対策を講じることが求められています。
住友商事、積水ハウス、オリエンタルランド、関電工、三井住友建設

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