2025年9月7日夜、石破茂内閣総理大臣は首相官邸で緊急の記者会見を開き、自民党総裁および内閣総理大臣の職を辞任する意向を正式に表明しました。昨年9月の自民党総裁選で党員・議員の幅広い支持を得て第28代総裁に就任してからわずか1年余りでの辞任となり、日本の政局は大きな転換点を迎えることになります。会見はテレビやインターネットで同時中継され、多くの国民がその瞬間を見守りました。
辞任の理由と米国関税交渉の区切り
石破総理は会見で「米国との関税交渉を最後まで自らの責任で進めることが使命だと考えてきた」と強調し、日米了解覚書の署名と米国大統領令の発出により「一区切りがついた」と述べました。参院選の大敗を受けて続投に批判が強まる中でも、外交課題を最優先にしてきたことを説明。今回の辞任は単なる敗北の責任ではなく、交渉成果を確認したうえでの政治的判断であると強調しました。背景には「結果を残した上で退く」という石破氏の政治的美学がうかがえます。
少数与党で続投するも選挙に連敗
石破政権は誕生直後から厳しい状況に置かれていました。就任後まもなく行われた衆議院選挙で自民・公明の与党連合が過半数を失い、国会運営は常に少数与党の制約を受ける形となりました。その後の参議院選挙でも敗北を喫し、衆参両院での「ダブル少数与党」が確定。重要法案の成立は野党の協力に依存せざるを得ず、党内からは「選挙に勝てないリーダーでは政権を維持できない」との批判が高まっていました。国政選挙に二度連続で敗れたことは、総理辞任の大きな要因となりました。
党内四役の辞意と総裁選前倒しの動き
参院選敗北後、党の幹事長・政調会長・総務会長など党四役が相次いで辞意を表明しました。これにより党内は一気に総裁選前倒しのムードに傾き、9月8日には臨時総務会で前倒し決議が予定されていました。しかし石破総理が辞任を表明したことで、その必要はなくなりました。総裁選前倒しを求める声は「党の求心力を取り戻すためには不可避」という認識に基づくものであり、石破氏の辞任はその流れを先取りした形です。党内では「自ら身を引いたことで、分裂の回避につながった」との評価も出ています。
石破総理の会見での言葉
会見の中で石破総理は「少数与党という厳しい立場にありながらも、1年間政権を担えたのは国民と与党の支えがあったからだ」と感謝を述べました。また「党派を超えた合意形成、真摯で誠実な国会審議を心掛けてきた」と、自身の政治姿勢を振り返りました。最後は「国民の皆様、本当にありがとうございました」と深々と頭を下げる姿が印象的でした。誠実さを重んじる石破氏らしい言葉に、多くの視聴者が胸を打たれたという声も広がっています。
今後の政局と新総裁選び
石破総理の辞任により、自民党は速やかに新しい総裁選びに入る見通しです。後任総裁は自動的に首相指名を受け、政権を担うことになります。ただし衆参両院で過半数割れの状況は変わらず、次期政権も野党との協力を前提とした運営を迫られるでしょう。外交・経済・安全保障など課題は山積しており、「誰がリーダーシップを発揮できるのか」が政局の焦点となります。与党内では早くも複数の有力候補の名前が取り沙汰され、激しい駆け引きが予想されます。
世論と国民の受け止め
石破総理の辞任表明を受け、国民の間では様々な意見が飛び交っています。SNS上では「潔い判断だ」「責任を取る姿勢は評価できる」といった肯定的な声がある一方、「政権の安定を投げ出した」「早すぎる退陣ではないか」との批判も見られます。特に若年層からは「政治の継続性が損なわれるのでは」との不安の声も上がっています。今後の自民党総裁選と新政権の方向性は、日本の政治に対する国民の信頼を左右する大きな試金石になるでしょう。
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