低金利の住宅ローンで人気を集めてきたネット銀行が、貸し出し戦略の見直しを迫られている。日本銀行が導入した貸出増加支援制度が2025年6月末で終了し、資金調達が難しくなる中、各行は金利引き上げや商品多様化を進めている。
ネット銀行は、2013年から続く大規模金融緩和の影響で、低金利を武器に市場シェアを拡大してきた。ニッセイ基礎研究所の推計によると、ネット銀行を含む「その他の銀行」のシェアは、2014年3月末の3%から2025年3月末には12%に増加した。一方で、メガバンクのシェアは36%から24%に縮小している。
しかし、最近では金利の優遇幅を縮小する動きが見られる。例えば、auじぶん銀行は6月に変動金利の優遇幅を2.111%から2.061%に引き下げ、最優遇金利は0.78%に上昇した。このような金利引き上げは、他のネット銀行にも広がっている。
ネット銀行は、金利以外の魅力を強化するための取り組みを進めている。auじぶん銀行は、住宅ローンの借り入れに加え、普通預金に預け入れることで利息の一部を現金で還元するサービスを開始した。また、楽天銀行やPayPay銀行は、借入期間を35年から50年に延長するプランを導入し、若年層の取り込みを図っている。
このように、ネット銀行は金利の優位性が薄れる中で、金利以外の差別化戦略を強化し、顧客獲得に努めている。今後、メガバンクとの資金調達力の差が一層明らかになる中で、ネット銀行がどのように競争力を維持していくかが注目される。
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