農林中央金庫の北林太郎理事長は、4月1日に就任した際に、米国債の大量売却に関する市場の臆測を否定しました。彼は、米国との相互関税導入時における売却の噂について「事実はない」と述べ、運用失敗に伴う米国債の一括売却は2024年度で終了したと明らかにしました。
この発言は、9日に実施された日本経済新聞のインタビューでのもので、北林氏は今後の運用改革についても中長期的に進める考えを示しました。彼は、米国債を巡っては、相互関税の発動前後に株式、債券、通貨が同時に下落する「トリプル安」が発生したことが影響していると指摘しました。
さらに、北林氏は、農林中央金庫が直面している運用の課題についても触れ、特に金利の急騰が影響を及ぼしていることを強調しました。彼は、外債の運用失敗による巨額赤字を受けて、証券化商品や社債、株式などへの分散投資を進め、安定した収益を確保する方針を示しました。
農林中央金庫は、急激な金利上昇により含み損が膨らんでおり、2025年3月期には1.9兆円の純損失を計上する見通しです。北林氏は、収益源が外債に偏りすぎていたことや、環境変化に対する経営判断が遅れたことを反省し、今後は債券の割合を減らし、信用リスク資産の割合を増やす方針を示しました。
また、彼は、農林中央金庫の運用体制を見直し、外部の専門家を理事会に加えることも検討しており、リスク管理の強化を図る意向を示しています。これにより、農林水産業の発展に寄与するための持続可能な運用を目指すとしています。

![]() |