米オンライン決済大手Stripe(ストライプ)は、7日に人工知能(AI)を活用した決済基盤モデルを発表しました。このモデルは世界初のものであり、Stripeの提供する決済サービスに新たな機能を加えることを目指しています。また、ステーブルコインを活用した資金管理機能の大幅な拡張も行われました。
AIによる決済基盤モデルの特徴
Stripeの共同創業者兼CEOであるパトリック・コリソン氏は、AIとステーブルコインが「私たちを取り巻く経済情勢を劇的に変えようとしている」とコメントしました。彼は、これらのテクノロジーを前進させ、Stripeを利用する企業がすぐにその恩恵を受けられるようにすることが同社の役割であると強調しました。
新たに導入されたAIによる決済基盤モデルは、数百億件の取引データに基づいて学習しており、各決済に関する数百もの微妙なシグナルを捉えることが可能です。このモデルにより、不正行為の防止、決済承認率の向上、個々の購入者に向けたパーソナライズが加速されます。
例えば、不正利用者が盗んだクレジットカード番号が有効かどうかを確認するために少額決済を繰り返し試みる「カードテスト攻撃」に対して、大規模企業への攻撃の検出率を64%向上させることができました。
ステーブルコイン金融口座の導入
さらに、Stripeは新たな資金管理機能「ステーブルコイン金融口座」をローンチしました。この口座は101カ国の企業が利用可能で、企業はステーブルコインで残高を保有し、暗号資産(仮想通貨)と法定通貨の両方で資金を受け取ることができます。また、世界中の多くの地域にステーブルコインを送金できるようになります。
Stripeは、自国通貨の変動が激しい国に住む起業家がインフレヘッジを行い、より容易に世界経済にアクセスできるようになると述べています。初めに、2つのドル建てステーブルコイン(USDCとBridgeのUSDB)を取り扱い、今後はさらに他のステーブルコインも導入していく予定です。
Bridgeの買収と提携
Stripeはこの機能発表に先立ち、企業向けにステーブルコイン決済機能を提供する企業Bridgeを買収していました。Bridgeは先週、決済大手Visaと提携し、加盟店で消費者がステーブルコイン残高を法定通貨と同じくらい簡単に利用できるカードを発行するサービスをリリースすると発表しています。
Stripeの成長と影響
Stripeは、「Fortune 100」企業の半数、「Forbes AI 50」企業の78%を含む、世界最大規模で急成長中の企業にサービスを提供していると報告しています。2024年には、Stripeを利用する企業による決済総額は1.4兆ドル(約200兆円)に達すると予測されており、これは2023年から38%の増加を示し、世界のGDPの約1.3%に相当します。
結論
Stripeの新たなAIを活用した決済基盤モデルとステーブルコイン金融口座の導入は、企業の資金管理や決済プロセスを大幅に効率化する可能性があります。これにより、企業はより柔軟に経済環境に対応できるようになり、グローバルなビジネス展開が一層促進されることが期待されます。

![]() |