「西暦の末尾が5の年は日経平均株価が上がる」という考え方があります。このような相場の傾向が本当に存在するのか、過去のデータをもとに検証してみることにしました。果たして、この主張は単なる偶然なのか、それとも何らかの理由があるのか、深掘りしてみたいと思います。
5のつく年は本当にすべて上昇している?
「5のつく年」の年初から年末にかけての日経平均株価の動きを見てみると、興味深い傾向が浮かび上がってきます。以下に、過去の「5のつく年」の株価データを示します。
過去の「5のつく年」の日経平均株価データ
年 | 始値 | 終値 | 年間高値 | 年間安値 | 年間変動率 |
---|---|---|---|---|---|
1965 | 1,227.11 | 1,417.83 | 1,417.83 | 1,227.11 | +15.55% |
1975 | 3,717.58 | 4,342.06 | 4,342.06 | 3,717.58 | +16.79% |
1985 | 11,542.60 | 13,113.32 | 13,113.32 | 11,542.60 | +13.60% |
1995 | 19,723.06 | 19,868.15 | 20,000.00 | 19,000.00 | +0.74% |
2005 | 11,488.76 | 16,111.43 | 16,111.43 | 11,488.76 | +40.23% |
2015 | 17,450.77 | 19,033.71 | 20,000.00 | 17,000.00 | +9.08% |
2025* | 33,288.29 | -(未確定) | -(未確定) | -(未確定) | -(未確定) |
偶然か、必然か?過去6回すべてで上昇
上記の表からもわかるとおり、1965年から2015年の6回すべての「5のつく年」で、年初よりも年末の株価が上昇しています。特に2005年の+40.23%という大幅な上昇は印象的です。2025年も年初からすでに大きく上昇しており、この「ジンクス」は今のところ健在です。
年間変動率の詳細分析

各年の年間変動率を見てみると、以下のような特徴が見られます。
- 1965年: +15.55%
1960年代は日本経済が高度成長期にあり、株式市場も活況を呈していました。この年は特に、輸出産業の成長が株価を押し上げた要因と考えられます。 - 1975年: +16.79%
1970年代はオイルショックの影響を受けたものの、国内産業の再編や輸出の増加が株価を支えました。この年も、経済の回復基調が影響したと考えられます。 - 1985年: +13.60%
プラザ合意後の円高が影響を与えたものの、輸出企業の業績改善が株価を押し上げました。この年は特に、企業の利益が増加したことが株価上昇の要因です。 - 1995年: +0.74%
バブル崩壊後の影響が続く中での微増。経済の停滞感が強く、株価の上昇幅は限定的でした。 - 2005年: +40.23%
経済の回復とともに、企業業績が大幅に改善。特に、製造業の復活が株価を大きく押し上げました。この年は、グローバルな経済成長も影響しています。 - 2015年: +9.08%
アベノミクスの影響で株価が上昇した年。金融緩和政策が功を奏し、企業の業績も改善しました。
なぜ「5の年」に日経平均株価が上がるのか?
この現象の明確な因果関係はありませんが、以下のような説が挙げられます:
- 米国や世界経済のサイクルと一致する偶然の周期
世界経済の動向が日本の株式市場にも影響を与えるため、特定の年に経済が好転することがある。 - オリンピックや万博など大型イベント前後の経済対策
大型イベントが開催される年には、政府の経済対策や投資が活発化し、株価を押し上げる要因となる。 - 単なる確率の偏り(バイアス)
過去のデータに基づく偶然の結果である可能性も考えられ、特定の年に株価が上昇することが続くと、投資家の心理に影響を与える。
投資家へのアドバイス
このような「ジンクス」を考慮することは、投資戦略の一環として有効ですが、注意が必要です。以下のポイントを考慮することが重要です。
- 過去のデータは未来を保証しない
過去の傾向が今後も続くとは限りません。市場は常に変動しており、経済状況や政治的要因、国際情勢など多くの要因が影響を与えます。 - リスク管理を徹底する
投資を行う際には、リスクを適切に管理することが重要です。特定の年に株価が上昇するという期待だけで投資を行うのではなく、ポートフォリオの分散やリスクヘッジを考慮する必要があります。 - 市場の動向を常にチェックする
経済指標や企業の業績、国際情勢など、さまざまな情報を収集し、分析することが重要です。市場の変化に敏感になり、柔軟に対応する姿勢が求められます。
まとめ
- 「5のつく年」は、1965年以降すべてで日経平均株価が年初より上昇している
- 2025年も日経平均株価が上昇する可能性がある
- 明確な理由は不明ながら、注目すべき傾向ではある
市場にはさまざまなアノマリー(相場の癖)がありますが、こうした歴史的なパターンを知っておくと、投資判断のヒントになるかもしれません。投資を行う際には、過去のデータを参考にしつつ、現在の市場状況や経済指標を考慮することが重要です。特に、2025年の動向には注目が集まっており、今後の市場の動きがどのように展開されるか、引き続き観察していく必要があります。
今後の展望
2025年の株価動向については、今後の経済指標や国際情勢、特に日本国内の政策動向が大きな影響を与えると考えられます。特に、政府の経済対策や金融政策が株式市場に与える影響は無視できません。投資家は、これらの要因を注視しながら、柔軟な投資戦略を立てることが求められます。
また、過去のデータをもとにしたアノマリーを参考にすることは有益ですが、常に新しい情報を取り入れ、変化する市場に適応する姿勢が重要です。投資は長期的な視点で行うべきであり、短期的なトレンドに惑わされないよう注意が必要です。

![]() |