トランプ米大統領は2026年6月22日、量子コンピューターの開発推進に向け2つの大統領令に署名しました。官民一体で2028年の実用化を目指し、中国に対抗する狙いがあります。
大統領令の内容
1つ目の大統領令は、科学研究に活用できる能力を持つ量子コンピューターの開発を企業と連携して進め、2028年までに実現することを目指すものです。開発した装置はまず国立の研究機関に設置される見通しです。
ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のクラツィオス局長は、量子コンピューターは「2028年までに実現可能」と予想しています。
2つ目の大統領令は、量子コンピューターでも解読できない情報秘匿性の高い「量子暗号」(耐量子暗号、PQC)の導入計画を前倒しするものです。政府の主要なコンピューターシステムを、量子コンピューターでも解読が難しい暗号方式に移行する目標が盛り込まれ、当初2035年とされていた計画を2030年または2031年までに完了させることを目指します。
背景と目的
これらの大統領令は、中国との開発競争で米国の主導的地位を確保する狙いがあります。大統領令には「米国の経済、国家安全保障を損なおうとする競合国や敵対国」を念頭に、知的財産権の保護や供給網の安全確保に関する国際協力の強化などが盛り込まれています。
量子コンピューターは量子力学の法則を利用して情報を処理し、現在のスーパーコンピューターを大幅に上回る速度で特定の複雑な問題を解くことができます。一方で、既存の暗号技術を解読し、コンピューターをハッキングから保護する仕組みを無力化する可能性があるため、サイバーセキュリティー上の脅威への対応も急務となっています。
関連する取り組み
トランプ政権は最近、CHIPSプラス法に基づき、量子コンピューター関連の米国内企業9社に対し、総額20億1,300万ドルの連邦資金を提供し、各社に出資も行っています。
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