日本政府は2025年11月21日、臨時閣議を開き、21.3兆円規模の総合経済対策を決定しました。この対策は、物価高への対応としてガソリンの旧暫定税率の廃止を含む減税分に11兆7000億円を充てることが特徴です。また、半導体や人工知能(AI)、造船などの成長分野への投資も拡充されます。
2025年度補正予算案における一般会計からの支出は17.7兆円で、これは2024年度を約4兆円上回る金額です。特別会計などを含めた財政支出は21.3兆円に達し、国と地方自治体、民間資金を合わせた事業規模は42.8兆円となります。
この経済対策は以下の3つの柱で構成されています:
- 生活の安全保障・物価高への対応
- 危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現
- 防衛力と外交力の強化
政府は、実質GDPを24兆円程度押し上げ、成長率を年率1.4%ほど向上させる効果を見込んでいます。家計支援として、2026年1〜3月に電気・ガス料金を合計7000円程度補助し、これにより消費者物価指数(CPI)の上昇率を0.4ポイント抑えることを目指します。
自治体向けの支援金も拡充され、食料品の高騰対策としておこめ券や電子クーポン券の配布が促進され、水道料金にも使用できるようになります。さらに、子育て世帯への支援として、18歳以下の子どもに一律2万円を給付することが決定されました。
危機管理投資と成長投資を推進するために、財政資金が投じられ、造船能力の向上を目的とした10年間の基金が創設されます。宇宙や国土強靱化などの公共事業分野にも予算が配分され、医療物資の高騰や人件費上昇に苦しむ病院や医療従事者への補助も盛り込まれています。自然災害やクマ被害の拡大に対応するための予備費も7000億円増加し、残額と合わせて1兆円に達します。
国の直接支出においては、「生活の安全保障・物価高への対応」に11.7兆円、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」に7.2兆円、「防衛力と外交力の強化」に1.7兆円がそれぞれ充てられます。減税分としては、所得税がかかり始める「年収の壁」の引き上げにより1.2兆円、ガソリンの旧暫定税率の廃止で1.5兆円を見込んでいます。
与党の自民党と日本維新の会は衆参両院で過半数に満たないため、補正予算案の成立には公明党を含めた野党の協力が必要です。

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