米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが支援するイーサリアムL2チェーン「Base」は、メインネット上でB20トークン規格を有効化した。これにより、ステーブルコインや現実資産(RWA)、トークン化株式などのネイティブトークンをBase上で直接発行できるようになった。
B20トークン規格の概要
B20はイーサリアムのERC-20規格を基盤としたBase独自のネイティブ・トークン規格で、ERC-20対応のウォレット、取引所、オンチェーンプロトコルなど既存のエコシステムと完全に相互運用が可能である。従来のように個別のERC-20スマートコントラクトを独自に開発・監査する必要がなくなり、トークン発行の手間とコストが大幅に削減される。
B20はEVM(イーサリアム仮想マシン)のスマートコントラクトとして実装されるのではなく、Baseのプロトコル層(ノードソフトウェア内)に、Rustで記述されたプレコンパイルとして直接組み込まれている。トークンの作成と初期設定は、単一のプレコンパイル「B20Factory」を通じて1回のトランザクションで完結する。
トークンの種類と機能
B20は用途に応じて、資産型とステーブルコイン型の2種類のトークン発行をサポートしている。資産型では桁数を6桁から18桁の間で任意に設定できる。一方、ステーブルコイン型では小数点以下6桁に固定されており、発行時に法定通貨の通貨コード(例:USD、EURなど)を指定する必要がある。
コンプライアンス面では、規制要件への対応を支援するツールキットを提供する。主な機能は以下の通り。
- 役割ごとのアクセス権限管理(デフォルト管理者、ミント権限、バーン権限、ポーズ権限など)
- ミント(新規発行)・バーン(焼却)機能
- 供給上限の設定
- 送金ポリシーの管理(ホワイトリスト・ブラックリスト)
- 規制対象発行体向けの資産凍結・没収機能
- トランザクションメモ(オンチェーンとオフチェーンの記録連携)
Berylアップグレードとの関係
B20は、6月26日にメインネットで有効化された「Beryl(ベリル)」アップグレードの一環として導入された。このアップグレードの主な目的は、B20トークン規格の導入に加え、イーサリアムへの出金待ち時間の短縮、およびReth V2の採用によるパフォーマンス向上である。
今回のアップグレードでBaseからイーサリアムへの出金確定の待機時間は従来の7日から5日に短縮された。Baseチームは、今後も監視・証明システムの進化に合わせて、段階的に期間短縮を進めていく方針だ。
また、これまでBase唯一のクライアントとして利用されてきた「Reth」の最新バージョン「Reth V2」を導入。ノードのディスク使用量を大幅に削減し、ステート処理の高速化を実現する。Reth V2は1.7ギガガス/秒のパフォーマンスを達成し、ディスク使用量を約半分に削減する。
Berylアップグレードは当初6月25日に予定されていたが、B20 Activation Registryの初期化に追加時間が必要だったことや、度重なるブロック生成障害の発生で遅延した。
戦略的意義
Baseの公式ブログは、B20について「世界最高水準の資産発行プラットフォーム」の実現を目指すものと説明している。金融機関や機関投資家など、規制遵守が求められる事業者の利用を想定し設計されている。
B20は、ステーブルコインやRWA市場のさらなる活性化につながると期待されている。コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、B20トークン規格の導入によってBaseのパフォーマンス改善が期待できるとの見方を示した。
B20の導入により、Baseは単なるスケーリングソリューションではなく、機関投資家向けのコンプライアンス機能を備えたファーストクラスの資産発行プラットフォームとしての地位を確立しようとしている。

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