米証券取引委員会(SEC)は2026年の規制アジェンダで、暗号資産(仮想通貨)に関する包括的な規則整備を主要課題に掲げた。取引所やブローカーディーラーに適用される既存規則を見直し、暗号資産の発行、保管、取引に関する規制枠組みを明確化する方針だ。
ブローカーディーラー規則の見直し
SECは、ブローカーディーラーに一定の純資本維持を求める規則や、破綻時に顧客資産を保護するための規則について、暗号資産への適用を踏まえた改正を検討している。また、ブローカーディーラーの記録保存・報告規則についても見直しを進める。
さらに、取引所規則の変更も検討対象に含まれている。SECは、暗号資産をめぐる規制枠組みを明確にし、市場にさらなる予見可能性を与えるため、暗号資産の発行、保管、取引に関する明確なルールが必要だとしている。
アトキンス委員長のビジョン
ポール・アトキンスSEC委員長は声明で、2026年の規制アジェンダについて、投資家保護、資本形成の促進、公正で秩序ある効率的な市場の維持というSECの中核的使命に立ち返るものだと述べた。その上で、米国を「世界の暗号資産の中心地」とするトランプ大統領の目標に沿い、イノベーションと新技術を取り込み、より多くの金融商品・サービスを米国内で展開しやすくする考えを示した。
アトキンス氏は、前SEC委員長ゲイリー・ゲンスラー氏の執行重視のアプローチから転換し、イノベーション促進と規制の明確化を優先する姿勢を明確にしている。同氏は2002〜08年にSEC委員を務めた経歴を持ち、暗号資産推進派として知られる。
3つの柱で構成される暗号資産関連案件
SECが2026年のアジェンダに盛り込んだ暗号資産関連の案件は、具体的に3つの柱で構成される見通しだ。第一に、デジタル資産証券を取引するプラットフォームに関する規制整備が含まれる。
今回の方針には、暗号資産を用いた資金調達に明確なルールを設けることや、オンチェーン上のトークン化証券について、市場参加者がどのように保管し、取引を仲介できるかを明確にすることも含まれる。一方で、SECは投資家保護のための強固な防護策を維持し、違法行為を行う悪質な事業者への対応も継続するとしている。
暗号資産5分類と解釈指針
SECとCFTCは2026年3月、全暗号資産を5つに分類する公式解釈を公表した。これにより、保有トークンの規制上の位置付けが明確化された。SECは2026年3月17日、ビットコインなど暗号資産の取引への連邦証券法の適用を明確化するための解釈指針(interpretive release)を発表。アトキンス委員長は、トークン化証券のみが証券に該当し、「現在取引されているほとんどの暗号トークンはそれ自体が証券ではない」との立場を示した。
セーフハーバー案とイノベーション免除
アトキンス委員長は3月18日、暗号資産プロジェクトが直ちに証券登録を行わずとも運営できる「セーフハーバー(安全港)」免除を提案した。これは、長年にわたり業界が求めてきた規制の明確化の一環であり、暗号資産プロジェクトの初期資金調達を支援するものだ。SECはまた、一時的な「イノベーション免除」の導入も検討している。
包括的な資本市場改革の一環
SECのアジェンダは暗号資産だけでなく、IPOの活性化や開示制度の見直し、個人投資家によるプライベート市場への参加促進にも及ぶ。アトキンス氏は、米国の資本市場が今後も世界を主導し、イノベーションを繁栄につなげる場であり続ける必要があると強調した。
SECは2026年度から2030年度を対象とした戦略計画の草案でも、仮想通貨規制の法的明確化を最優先課題として位置付けている。SECとCFTCは2026年3月11日に覚書(MOU)を締結し、暗号資産規制の枠組み整備に向けた連携強化を図っている。

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