中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、半導体設計における新たな思想「タウ(τ)の法則」を発表し、市場の注目を集めている。これは、従来の半導体微細化の指針である「ムーアの法則」に対抗する概念であり、立体回路設計によって次世代半導体並みの処理速度を達成できるとしている。
・ムーアの法則の限界と新たなアプローチ
ムーアの法則は、1965年にインテル創業者のゴードン・ムーアが提唱した経験則で、「半導体回路の集積密度は1年半~2年で2倍になる」とされる。この法則は半導体産業の長期的な発展を支えてきたが、近年は回路線幅の微細化が物理的限界に近づき、その終焉が指摘されている。ファーウェイは、この限界を打破するために、2次元の微細化に頼らず、3次元の立体回路設計で性能向上を図る「タウの法則」を提唱した。
・タウの法則の核心
「タウの法則」は、半導体チップを立体的に積層する3次元実装技術を活用し、集積度を飛躍的に高めることを目指す。これは、従来の微細化による性能向上が頭打ちになる中で、設計の自由度を高め、システム全体の性能を引き上げるアプローチである。ファーウェイは、この法則により、最先端の微細プロセスに依存せずとも、同等以上の処理能力を実現できると主張している。
・市場への影響と関連株の急騰
この発表を受け、中国の半導体・人工知能(AI)関連株が急騰している。特に、ファーウェイと並び中国のAI半導体をリードする中科寒武紀科技(カンブリコン)の株価は、この1カ月で2倍以上に上昇した。市場では、米国による対中輸出規制が強化される中、中国の半導体国産化政策への期待が高まっており、ファーウェイの新たな技術戦略が追い風となっている。
・国際学会での存在感
ファーウェイは、半導体分野の国際学会でも存在感を高めている。2025年6月に京都市で開催されたVLSIシンポジウムでは、次世代メモリーやAI半導体に関する最新の研究成果を発表し、欧米や韓国の半導体企業に迫る実力を示した。同社は、材料、素子、回路設計など幅広い分野で研究を進めており、その裾野の広さが評価されている。
・今後の展望
ファーウェイは、2026年に最先端AI半導体の生産を大幅に拡大する計画を発表しており、今後3年間で4種類の次世代AIチップを投入する方針を示している。米国の厳しい輸出規制下にあっても、ファーウェイは独自の技術開発と国産化戦略を推進し、世界の半導体市場における競争力を維持しようとしている。
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