2025年12月2日、米連邦預金保険公社(FDIC)のトラビス・ヒル代行議長は、下院金融サービス委員会での証言において、ステーブルコイン規制に関する重要な発表を行った。ヒル氏は、同機関が「ジーニアス法」に基づくステーブルコイン発行者向けの規則案を12月下旬に公表する予定であることを明らかにした。
ジーニアス法の概要
ジーニアス法は、2023年7月に成立した法律で、ステーブルコインの規制を明確化し、その採用を促進することを目的としている。この法律は、成立から18か月後、または規制当局が施行関連規制を承認してから120日後に発効する。
ヒル氏は、FDICがこの法律の実施に向けて、ステーブルコイン発行者に対する規則案を策定中であることを強調した。これにより、業界の透明性が向上し、ステーブルコインの利用が促進されることが期待されている。
業界からの要望
11月には、サークル社やコインベースなどの企業がジーニアス法の施行に関する要望を提出しており、特に利子支払い禁止規定がステーブルコイン発行者にのみ適用されることを求めている。これにより、仮想通貨取引所などが間接的な報酬を提供することが可能になると考えられている。
デバンキング問題への対応
ヒル氏は、仮想通貨業界へのデバンキング(銀行サービスの剥奪)問題についても言及した。バイデン政権下での銀行サービス制限が問題視されており、トランプ大統領がこの動きを止めるための大統領令に署名したことを受けて、FDICもいくつかの措置を講じている。
今後の展望
FDICは、ステーブルコインの発行を承認された預金取扱金融機関(IDI)の子会社に対してライセンス付与および監督を行う予定であり、これにより金融機関の規制が強化される見込みだ。また、トークン化預金に関するガイダンスも策定中であり、銀行が発行するデジタル資産の規制上の明確性を高めることが目指されている。
ヒル氏の証言は、今後のステーブルコイン規制の方向性を示す重要なものであり、業界関係者からの注目が集まっている。

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