ソラナ(Solana/SOL)、ライトコイン(Litecoin/LTC)、ヘデラ(Hedera/HBAR)を対象とする4つの現物型ETFが、今週ついに米国市場で取引を開始します。
これは昨年のビットコインETF、イーサリアムETFの承認に続く大きな動きで、暗号資産ETF市場の多様化が一気に加速する形です。
運用会社のカナリー・キャピタル(Canary Capital)が手がける「Canary Litecoin ETF」と「Canary HBAR ETF」はすでに承認済みで、10月28日にナスダック(Nasdaq)で取引が始まります。
さらに、Bitwise Asset Management(ビットワイズ)による「Bitwise Solana Staking ETF(BSOL)」も同日に上場予定。
翌29日には、グレイスケール(Grayscale)が既存の「Solana Trust」を転換する形で「Grayscale Solana ETF」を上場させる見通しです。
ETF市場の動向に詳しいエリック・バルチュナス氏(ブルームバーグETFアナリスト)は「アルトコインETF承認の波は予想よりも早く訪れた」と指摘しています。
アルトコインETF上場の背景
今回の上場は、多くの専門家が驚くほどのスピードで実現しました。
その背景には、SEC(米証券取引委員会)が採用した「8-A登録」という新たなルートが存在します。
この8-A登録とは、1934年証券取引法に基づき証券を登録するための申請書で、発行体がSECの正式承認を経ずに上場可能となる制度です。
発行企業によると、今回のETFはいずれもSECが9月に導入した「コモディティ信託向け一般上場基準」を満たしており、これが迅速な承認を後押ししました。
また、米政府機関が部分閉鎖状態にある中でも、NYSEとナスダックは上場プロセスを継続。
SECが10月1日に「新規審査を一時停止する」と発表したにもかかわらず、これらETFは“例外ルート”を通過した形です。
この仕組みの活用により、政府閉鎖中でもETF上場が可能になるという新しい前例が生まれたことになります。
Bitwise・Grayscale・Canaryの戦略
今回上場する4本のETFのうち、最も注目を集めているのがBitwiseの「Solana Staking ETF(BSOL)」です。
このETFは、保有するSOLをすべてステーキング運用に回すというユニークな構成を採用。
投資家はSOL価格の上昇益に加え、ネットワーク報酬としてのステーキング収益も得られる仕組みです。
Bitwiseは、上場から3カ月間、運用資産10億ドルまでの範囲で管理手数料を0%とし、その後も0.20%という低水準を維持。
これは機関投資家・個人投資家の双方にとって魅力的な条件です。
一方、グレイスケール(Grayscale)は既存のSolana TrustをETFに転換し、流動性とアクセス性を高めます。
また、Canary Capitalはライトコイン(LTC)およびヘデラ(HBAR)ETFを同時上場し、いずれもナスダックにおける暗号資産指数に連動する設計です。
これにより、投資家は「ビットコイン・イーサリアムに次ぐ第3の投資対象」として、ソラナ・ライトコイン・ヘデラに直接エクスポージャーを持つことが可能になります。
投資家の関心と市場インパクト
暗号資産ETFへの関心は、依然として極めて高水準にあります。
2024年に承認されたビットコインETF群は、すでに総額1,500億ドルを超える運用資産を抱え、そのうちブラックロックの「iShares Bitcoin Trust」が半分以上を占めています。
イーサリアム現物ETFの運用資産も270億ドルを突破。
これらの成功が、今回のアルトコインETF上場の追い風となりました。
現在、ソラナは時価総額約1,100億ドルを超える世界第6位の暗号資産。
1SOL=約199ドルで推移しており、DeFiやRWA(実資産トークン化)の分野で急速に存在感を強めています。
ETF上場によって、ソラナは個人投資家だけでなく機関投資家にも正式な資産クラスとして認知されることになります。
一方、ライトコイン(LTC)は「決済通貨」としての安定性、ヘデラ(HBAR)は「企業ブロックチェーン」の信頼性を強みとし、それぞれ異なる投資ニーズに応えるETFとして位置づけられます。
これにより、投資家は「用途に応じた暗号資産ポートフォリオ」を構築できるようになりました。
SECガイダンスが上場を後押し
こうしたETF上場ラッシュを支えたのが、SECによる10月9日の新ガイダンスです。
ガイダンスでは、企業がIPOやETF上場時に提出する「Form S-1」に遅延修正(delaying amendment)を付けない場合、20日後に自動で有効化されることが明確化されました。
これにより、政府閉鎖で職員が休職状態にあってもETFの登録手続きが進行できるようになり、今回の上場が現実化。
これは暗号資産ETF市場の制度的成熟を示す歴史的進展です。
この動きは今後、カルダノ(ADA)、アバランチ(AVAX)、ドージコイン(DOGE)など、他の主要アルトコインETFの承認にも波及する可能性が高いと見られています。

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