中国企業における労働時間の変化とその背景

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近年、中国の一部大手企業が従業員の労働時間に関する新たな方針を導入しています。特に、美的集団(Midea Group)などの家電メーカーは、従業員に退勤時間を守ることを義務化し、就業時間後の会議を禁止する措置を講じています。この動きは、長時間労働が常態化していた中国の労働環境において、重要な変化を示しています。

労働時間の短縮と企業の取り組み

美的集団では、従業員が深夜まで働くことが一般的でしたが、現在は午後6時20分に退社することが求められています。同社は、公式の通信アプリ「微信」において「アフターワークこそが本当の生活の始まりです」というメッセージを発信し、従業員の生活の質を向上させることを目指しています。

同様の取り組みは、ハイアールやドローンメーカーのDJIでも見られます。ハイアールでは、従業員が週5日勤務制度を歓迎する声が上がり、DJIでは午後9時にはオフィスを無人にする新方針が導入され、従業員からは喜びの声が寄せられています。

社会的背景と法的規制

このような変化は、単なる企業の方針変更にとどまらず、社会全体の労働環境に対する圧力の高まりを反映しています。特に、欧州連合(EU)が昨年12月に採択した新たな労働規制に対応する形で、強制労働の定義に過度な残業が含まれることが影響しています。

また、中国の最高裁判所が2021年に「996」労働制度(朝9時から夜9時まで週6日働くこと)を違法と判断したことも、企業の労働時間に対する意識を変える要因となっています。しかし、ハイテク業界や金融業界では、依然として長時間勤務が続いているのが現状です。

経済構造の転換と消費喚起

中国政府は、週44時間という労働時間の上限を順守するよう企業に働きかけており、労働者の休息や有給休暇の取得を推奨しています。これは、輸出依存型から消費主導型への経済構造転換を目指す政府の方針とも一致しています。

しかし、経済成長の低迷や雇用不足により、消費者の金銭的な不安が存在するため、消費喚起は容易ではないと専門家は指摘しています。十分な収入がない中で、消費を促進することは難しいという現実があります。

労働環境の未来

中国における労働時間の短縮は、社会的な反発や企業の取り組みによって進展していますが、全ての従業員がこの変化を信じているわけではありません。ある従業員は、24時間いつでも電話があり、休暇中も会議に参加させられた経験から、変化が持続可能かどうか疑問を持っています。

今後、中国企業全体にこの流れが波及するかどうかは不透明ですが、労働環境の改善に向けた動きは確実に進んでいると言えるでしょう。

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