【大人の学び直しTV動画】中国が直面している大問題

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中国経済の「見せかけの成長」と実態の乖離

中国共産党は公式に「経済は順調に成長している」と宣伝し続けています。政府発表によれば、2024年の実質GDP成長率は5.0%、2025年も9月までに5.2%とされ、目標達成を強調しています。しかし、独立系調査機関や世界の経済専門家の分析では、中国経済の成長はすでにピークを過ぎ、むしろ減速傾向にあると指摘されています。背景には、賃金未払い問題や不動産バブルの崩壊、若者の失業、そして国家主導の投資による「見せかけの成長」など、深刻な課題が横たわっています。

例えば税収データを見ると、2025年1月から9月までの税収は前年同期比でわずか0.7%増にとどまっています。経済が5%以上成長しているのであれば、企業の利益や消費活動が活発になり、税収も同様に増加するはずですが、この数字はあまりに小さく、実態との乖離が大きいことを示しています。

また、電力消費量の増加は6.8%に達しました。しかし、この増加は一般家庭の消費によるものではなく、国家が指導する製造業の拡大、特に電気自動車やバッテリー、太陽光パネルといった「新産業分野」への投資に起因しています。工場が増設され、製品が大量に生産されても、国内需要は低迷しており、物だけが余る状況が続き、デフレ圧力を生んでいます。余剰製品は海外に輸出され、米国や欧州との貿易摩擦を引き起こす原因にもなっています。

中国政府は経済成長目標を達成するため、見かけ上の成長を追求する傾向があります。数値上の目標を達成するために無理な投資や大量生産が行われ、結果として経済の歪みや不均衡を生んでいます。このような政策は、今後さらに深刻な課題を生むリスクがあります。

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中国経済の限界という大問題

ゼロコロナ政策の影響

過去数年間、中国政府はゼロコロナ政策として厳格なロックダウンを実施しました。この政策は多くの中小企業を倒産に追い込み、2024年の倒産件数は10万件に達しています。日本の倒産件数(約7500件)と比べると圧倒的な規模です。この倒産ラッシュの影響で若者の就職は非常に厳しく、2025年9月時点で16〜24歳の就業率は17.7%に留まりました。25〜29歳の就業率も7.2%と低迷し、社会の労働力の中核が大きな困難に直面しています。これにより国内消費も冷え込み、経済活動が停滞しています。

不動産不況の長期化

中国経済を支えてきた不動産市場も停滞が続き、2025年1月から9月の不動産開発投資は前年同期比で約14%減少しました。新規住宅販売面積や販売金額も減少し、建設業への投資が縮小しています。不動産市場の冷え込みは、地方財政の収入源である土地売却収入の減少を招き、LGFV(地方政府融資平台)債務の返済リスクを高めています。

貿易摩擦による外需の低迷

米中間の貿易摩擦も中国経済に大きな影響を与えています。2025年10月の貿易統計では、中国の米国向け輸出が7ヶ月連続で減少しました。表面的には輸出総額は前年同期比で7%増となっていますが、これはトランプ関税2.0前に企業が慌てて輸出した「駆け込み需要」に過ぎません。今後は輸出が減少する可能性が高く、経済成長への逆風となることが予測されています。

社会的セーフティネットの不在と賃金未払い

中国では、経済が停滞すると最も弱い立場の労働者に影響が現れます。建設業界では不動産不況の影響で賃金未払いが相次ぎ、ストライキも増加しています。さらに成長産業であるEVメーカーでも賃金未払いが発生し、工場が停止する事態まで生じました。

中国唯一の公式労働組合である中華全国総会は、労働者の権利を守る独立組織ではなく、共産党の指導下にあるため、社会の安定や党の方針が優先されます。このため労働者は声を上げる手段を持てず、社会的に弱い立場に置かれたままです。さらに、社会信用制度により、経済的失敗はブラックリストによる制裁として現れ、飛行機や高速鉄道の利用制限などが課されます。これにより、失敗者は社会的に追い込まれ、リスクを取ることが難しい環境が形成されています。

資本流出・地方財政問題・悪循環の連鎖

中国では経済的困窮が社会全体に深刻な影響を及ぼしており、社会の底辺層だけでなく、優秀な知識層やエリート層までもが国外に資本や人材を流出させています。2025年7月には銀行を通じて583億ドルが国外に送金され、過去に例のない規模となりました。この資本と頭脳の流出は、中国の長期的な成長基盤を内側から破壊し、経済停滞を招く大きな要因となっています。同時に、中国は国家主導で巨大なインフラプロジェクトを推進してきましたが、無理な建設は莫大なコストと維持管理費を生み、地方財政に深刻な負担をかけています。「U1シンク」や「高樹王大橋」のようなプロジェクトは完成しても収益性が低く、LGFV債務の増加とあわせて、地方財政のリスクを顕在化させています。これらの財政問題は賃金未払いなどの社会問題とも連鎖し、経済全体の失速を加速させる構造となっています。さらに、ゼロコロナ政策による中小企業の倒産、不動産不況、米中貿易摩擦なども絡み合い、中国経済は互いに作用し合う悪循環に陥っています。短期的な成長目標の達成を優先し、見せかけの成長を重視する政策は、長期的には国民生活や経済の健全性を脅かす深刻な構造的リスクを内包しているのです。

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まとめ

中国は公式発表上では経済成長を維持しているように見えますが、実態は大きな課題を抱えた複雑な状況です。国内消費の冷え込み、若者の就職難、インフラ投資の財政負担、社会信用制度の制約、資本流出などが同時進行しており、中国経済は大きな変革を迫られる可能性があります。この状況を理解することは、世界経済の動向や投資判断において非常に重要です。

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