英国でデジタル資産を法的に定義する法案が国王の裁可を受け、正式に成立しました。この新法により、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産が物理的な「モノ」や法的な「権利」とは異なる独立した財産カテゴリーとして位置づけられることになります。
これまで、英米法(コモン・ロー)では財産は物理的に占有できる「有体物」と、訴訟によって権利を行使できる「無体物(債権など)」に分類されてきました。しかし、暗号資産はこのどちらにも完全には適合せず、所有権を巡る争いや破産手続きにおいて裁判所は既存の法律を拡大解釈して対応せざるを得ない状況が続いていました。この法制化は、その長年の課題を根本から解決するものです。
新法の成立により、以下のような重要な影響が期待されます:
- 法的保護の強化: ハッキング被害に遭った際の資産凍結や回収、取引所が破綻した際の顧客資産の保全が迅速かつ確実に行えるようになります。
- 金融取引の促進: 暗号資産を担保とした融資などの金融取引においても、担保権の効力が法的に裏付けられるため、機関投資家の参入障壁が下がることが期待されます。
- 国際的な影響: 英国法が新たな基準を示すことで、国際的な金融契約の準拠法としての影響力が強化され、世界の暗号資産市場にも波及効果をもたらすことが予想されます。
この法案は税制や業法規制を定めるものではありませんが、デジタル資産そのものの法的性質を確定させた点で大きな意義を持ちます。これにより、デジタル資産の取り扱いがより明確になり、利用者にとっての安心感が増すことが期待されます。

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