フィナンシャル・タイムズ紙が11月25日に報じたところによると、仮想通貨ステーブルコイン最大手のテザー社が、中央銀行以外で世界最大の金保有者となりました。投資銀行ジェフリーズの分析によれば、同社の金保有量は約116トンに達しています。
テザー社の金保有量とその影響
テザー社の金保有量は、韓国、ハンガリー、ギリシャなどの中小規模の中央銀行とほぼ同等の水準です。第3四半期の金購入量は、世界の金需要全体の約2%、中央銀行の購入量の約12%に相当するとジェフリーズは推計しています。具体的には、テザー社は2025年第3四半期に26トン以上の金を購入し、同期間にカザフスタンが18トン、ブラジルが15トン、トルコが7トンを取得したのと比較すると、テザー社の購入規模が際立っています。
この傾向は第2四半期から強まっており、過去2カ月間の積極的な購入が短期的な供給を逼迫させ、市場心理に影響を与えた可能性があるとジェフリーズは指摘しています。
テザー社の戦略と市場の反応
テザー社は8月初旬以降、金担保トークンXAUtの準備金として27万5,000オンス以上の金を追加しました。これは約11億ドル相当です。同社のCEO、パオロ・アルドイノ氏は金を「天然のビットコイン」と位置づけ、準備資産の多様化を進めています。
しかし、S&Pグローバルは11月26日にテザー社の資産を最低評価の「弱い」に格下げしました。これは、ビットコイン、金、担保付融資、社債など高リスク資産へのエクスポージャー増加により、危機時にステーブルコインが担保不足に陥る可能性を警告するものでした。
中国の金購入と地政学的リスク
さらに、中国の金購入も市場に影響を与えている可能性があります。報道によると、中国の実際の金購入量は公式発表の10倍に達し、真の保有量は約5,000トンで米国に次ぐ世界第2位との見方もあります。複数のアナリストは、各国が地政学的リスクへの備えとドル依存の低減を目的に金の蓄積を進めていると分析しています。
テザー社の金保有量の増加は、今後の市場動向に大きな影響を与える可能性があり、注目が集まっています。

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