Ondo Financeは7月17日、短期米国債と銀行預金に裏付けられたトークン化商品「USDY(United States Dollar Yield)」を、高速L1ブロックチェーンのSeiネットワークに導入すると発表しました。この新しい取り組みは、DeFi(分散型金融)市場における重要なステップとされています。
Seiネットワークの急成長
Messariのデータによると、SEIのトークン価格は前月比114.9%の上昇を記録し、暗号資産の中で時価総額56位に急浮上しています。この成長は、投資家の関心を集める要因となっています。
USDYの特徴と利点
USDYは、保有するだけで金利を得られる特徴を持ち、Seiネットワーク上で初めてのトークン化米国債です。これにより、ユーザーは機関投資家グレードのオンチェーン利回り商品にアクセスできるようになります。短期米国債は安全性が高く、通常1年以内に満期を迎え、利息が支払われるため、USDY保有者はこの利息をトークンの価値の上昇や追加のトークン配布として受け取ることができます。
Seiネットワークの利点
Seiネットワークは、取引処理が「秒間数千トランザクション」と業界最高水準に速く、手数料が安いことが特徴です。Ondo Financeの創設者兼CEO、Nathan Allman氏は「SeiはDeFiにおいて、最速水準かつ最も高性能な環境の1つを構築している」と評価しています。
EVM(イーサリアム仮想マシン)との互換性
EVMは、イーサリアムブロックチェーン上でスマートコントラクトを実行するための仮想環境であり、他のEVM互換チェーンでも同様のコードを利用できるため、相互運用性が高まります。Allman氏は、USDYをSeiに導入することで、機関投資家グレードの商品と次世代実行レイヤーを組み合わせ、資本効率的なユースケースを実現すると述べています。
活用事例の可能性
今回の統合により、以下の活用事例が可能となります。
- 財務・流動性管理: プロトコルやDAOが使用していない資金を利息付き資産で運用し、資本効率を向上させる。
- RWA裏付けステーブルコイン機能: 従来のステーブルコインに代わる規制準拠の利息付き選択肢として、Seiのネイティブアプリで利用可能。
- DeFiコンポーザビリティ: マネーマーケット、DEX、仕組み商品への統合により、現実世界資産に裏付けられた利回り戦略を構築。
Seiの実績と信頼性
Sei Development Foundationのエグゼクティブディレクター、Justin Barlow氏は「Seiの革新的なインフラは、ほぼ即時の取引確定と並列処理を実現しており、機関投資家向けの金融商品に特に適している」とコメントしています。Seiネットワークは、2025年6月には米ワイオミング州から州政府発行ステーブルコインの基盤候補として選定されるなど、政府機関からの信頼も獲得しています。
さらに、2025年7月にはCircleのネイティブステーブルコイン「USDC」とのクロスチェーン・トランスファー・プロトコル(CCTP)の統合を発表し、シームレスかつ低コストのUSDC送金が可能となりました。これにより、決済システムとしての基盤が一層整備されることが期待されています。

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