海外サイバー攻撃、家庭用テレビ受信機が悪用 金融機関不正アクセスの踏み台に【警察庁発表】

※本サイトはプロモーションが含まれています
※本サイトはプロモーションが含まれています
Blog

警察庁が2025年9月18日に公表した「2025年上半期のサイバー空間を巡る脅威情勢」で、驚くべき実態が明らかになりました。それは、一般家庭で利用されているテレビ用受信機が海外からのサイバー攻撃に悪用されているというものです。これらの機器は「踏み台」として利用され、攻撃者は家庭のネットワークを経由して金融機関などへの不正アクセスを仕掛けています。利用者自身は通常のテレビ視聴やネット利用をしているつもりでも、裏側では自分の機器が攻撃者に操られている可能性があります。特に、インターネットに接続できる「スマートテレビ」や、最新のIoT対応機器は利便性が高い一方、セキュリティ対策が不十分な場合があり、攻撃の温床となってしまいます。利用者が気づかぬうちに犯罪の一端を担ってしまうリスクがあることから、社会全体での意識向上が不可欠です。

おすすめ書籍
決定版 サイバーリスクマネジメント
IoT機器をサイバー攻撃から守る
サイバーセキュリティ対策の新常識

警察庁の分析によれば、犯罪組織は一般家庭をターゲットに、マルウェア(悪意のあるプログラム)が仕込まれた受信機やネット対応機器を市場に流通させているケースもあるといいます。こうした機器は見た目や機能が正規品とほとんど変わらないため、購入者はまったく疑うことなく利用を開始してしまいます。しかし、その内部には攻撃者に遠隔操作されるための仕組みが組み込まれており、利用者の家庭がサイバー攻撃の拠点となってしまうのです。さらに、攻撃の発信元が「日本国内」として記録されるため、被害を受けた金融機関や企業が「日本から攻撃を受けた」と誤認するリスクもあります。これは国際的な信用問題にもつながりかねず、単なる家庭内の問題ではなく国家レベルの課題として対応が求められています。


今回の報告書で特に警戒が呼びかけられているのは、金融機関を狙ったサイバー攻撃の急増です。犯罪グループは、家庭用受信機やIoT機器を乗っ取り、そこから不正アクセスを仕掛けることで、セキュリティシステムの監視をすり抜けようとしています。金融機関は多要素認証やAIによる不正検知システムを導入して防御を強化していますが、攻撃者はあえて「一般家庭の機器」という想定外の経路を利用し、防御網を突破してきます。さらに、こうした攻撃は世界的に連携した犯罪ネットワークが仕掛けているケースが多く、被害は日本国内にとどまらず国際的な規模で広がる恐れがあります。もし金融機関のシステムに侵入されれば、顧客データの流出や送金詐欺など甚大な被害が発生しかねません。こうしたリスクを前に、金融業界全体でのセキュリティ連携がますます重要となっています。


利用者自身が「自宅のテレビや受信機が攻撃に使われる」とは想像しにくいかもしれませんが、現実にはそのリスクは高まっています。警察庁は利用者に対し、まず機器の初期パスワードを必ず変更することを強く推奨しています。出荷時のままのパスワードは攻撃者に容易に突破されてしまうためです。また、メーカーが提供するファームウェア更新を定期的に実行し、常に最新のセキュリティパッチを適用することも欠かせません。さらに、中古品や出所不明の格安機器を安易に購入することは避けるべきです。こうした機器はマルウェアが仕込まれている可能性が高く、リスクが大きいためです。もし機器の動作が不自然に重くなったり、インターネット回線の利用量が急増するなどの兆候が見られた場合は、感染を疑い、専門家に相談することが推奨されます。


今回の発表は、IoT機器が今後ますます普及する中で「家庭用機器がサイバー攻撃の標的になる」という深刻な課題を浮き彫りにしました。今や冷蔵庫やエアコン、カメラなどあらゆる電化製品がネット接続される時代となり、利便性が高まる一方で、セキュリティリスクも急増しています。警察庁はメーカーに対しても、セキュリティ基準を満たした機器の開発・流通を強化するよう求めており、政府レベルでもIoTセキュリティを守るための法整備や監視体制の強化が検討されています。サイバー攻撃は年々巧妙化し、個人・企業・政府が単独で対抗するのは難しくなっています。そのため、社会全体で「サイバー防衛」を共有する姿勢が不可欠です。家庭の小さな一台の受信機が、国家のセキュリティリスクにつながる時代だからこそ、今後は利用者一人ひとりが「自分もセキュリティの担い手である」という意識を持つことが求められます。


おすすめ書籍
決定版 サイバーリスクマネジメント
IoT機器をサイバー攻撃から守る
サイバーセキュリティ対策の新常識
PR
moomoo証券