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国内外での子会社設立と資産取得でビットコイン戦略を加速
株式会社メタプラネット(東証スタンダード:3350)は2025年9月17日、国内外でビットコイン関連事業を強化するための一連の施策を発表しました。主な内容は、
- 国内に「ビットコインジャパン株式会社」を設立
- 米国フロリダ州に「Metaplanet Income Corp.」を新設
- 戦略的ドメイン「Bitcoin.jp」の取得
- 新株予約権(第20~22回)の下限行使価額を777円から637円に引き下げ
という4点。いずれも同社が掲げる「BTC財務戦略」を進めるもので、投資家からは評価と警戒の双方の声が出ています。
株価への短期的な影響──資金調達余地の拡大
新株予約権の下限行使価額を637円へ引き下げたことは、投資家にとって低価格での権利行使が可能となる利点があります。会社にとっても権利行使を通じた資金調達が促進されやすくなり、事業拡大の原資確保につながります。
一方、既存株主にとっては株式価値の希薄化リスクが懸念されます。権利行使が進めば発行済株式総数が増加し、EPS(一株当たり利益)は低下する可能性があります。また新規発行株が市場で売却される場合、需給悪化による株価下落圧力も否定できません。
市場では「短期的には株価にマイナス要因となりやすいが、中長期では資金調達による事業強化効果が株価を下支えする」との見方が広がっています。
投資家視点の評価ポイント
① 国内事業の成長期待
「ビットコインジャパン株式会社」の設立と「Bitcoin.jp」の取得は、日本市場でのプレゼンス強化につながります。SEOに強いドメインを軸にした事業展開は広告収益やアフィリエイト収益にも直結するため、安定的なキャッシュフロー源の確立が期待されます。
② 海外事業の収益多様化
マイアミに設立する「Metaplanet Income Corp.」は、ビットコインを基盤としたインカム事業やデリバティブ取引を担います。従来の「トレジャリー事業」(BTC保有)に依存していた収益構造を補完し、収益源の多角化を進める点は投資家にとってプラス評価要因となります。
③ 資本政策の柔軟性
今回の新株予約権調整により、メタプラネットは資金調達余地を確保しました。海外募集による調達資金と合わせ、成長投資のための資本戦略を強化した格好です。短期的な希薄化リスクと引き換えに、成長ドライバーを得られるかが焦点となります。
リスク要因──ビットコイン相場依存体質
一方で、同社の成長は依然としてビットコイン価格動向に強く依存しています。
- BTC価格下落局面では、保有資産の評価損が拡大
- インカム事業もBTCの需給状況に左右されやすい
- 株価が暗号資産市場全体のセンチメントに連動
といった特徴があり、金融市場におけるボラティリティは極めて高いと言えます。
実際に2025年の暗号資産市場は調整局面が続いており、同社の財務戦略「mNAV1」も試される局面にあります。市場参加者の間では「メタプラネットは市場低迷期を乗り越えられるのか」という視点で評価されており、同社の事業再編がその答えとなるかが注目されます。
中長期的な株主価値への影響
証券アナリストの間では、今回の施策は「短期的な株価下押し圧力」と「中長期的な成長期待」の両面を持つとの見方が一般的です。
- 新株予約権による潜在株式数の増加 → 短期株価の抑制要因
- 「Bitcoin.jp」を活用した事業拡大 → 中長期的な収益力強化
- 米国子会社設立による収益多角化 → ボラティリティ軽減への布石
という整理が可能です。
つまり、短期的な株価下落リスクを受け入れられる投資家にとっては、中長期の成長シナリオに賭ける余地があるという評価になります。
まとめ
メタプラネットは、ビットコインを軸にした独自の財務戦略をさらに推し進めています。
国内外での子会社設立、戦略的ドメインの取得、新株予約権調整を通じて「資金調達・ブランド強化・収益多様化」という3つのテーマに取り組む姿勢を鮮明にしました。
株価は短期的に調整局面を迎える可能性があるものの、長期的には「Bitcoin.jp」や米国事業が安定収益源となり、同社の株主価値向上に寄与する可能性があります。
投資家にとっては、ボラティリティを許容しつつ中長期でリターンを狙えるかが判断の分かれ目となりそうです。
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