5日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数がいずれも10日ぶりに反落しました。トランプ米政権の関税政策を巡る先行き不透明感が影を落とす中、前週末までの株高による短期的な過熱感が生じていたことも影響し、利益確定売りが優勢となりました。
株価の動向
ダウ平均は前週末比98ドル(0.2%)安の4万1218ドルで取引を終えました。S&P500は0.6%安、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は0.7%安となりました。ダウ平均の構成銘柄では、米アップルが3%安、アマゾン・ドット・コムが2%安と軟調な動きが目立ちました。また、原油相場の下落基調を受けて、石油大手シェブロンの株価も2%下落しました。
ネットフリックスへの影響
動画配信サービス大手の米ネットフリックスは2%安となりました。トランプ米大統領が4日に自身のSNSで、外国で制作した映画に100%の関税をかける方針を示したことが売り材料となりました。デジタル配信が関税の対象に含まれるかどうかは不明ですが、関税の影響が小さいと見られていたサービス産業の業績にも下押し圧力がかかる可能性が意識されました。
市場の安心感と過熱感
ダウ平均は取引時間中に100ドル超上昇する場面もありました。5日発表の4月の米サプライマネジメント協会(ISM)のサービス業景況感指数は市場予想を上回り、前週発表の米雇用統計などに続いて、足元の米景気が底堅さを示していることが市場に一定の安心感を与えています。
しかし、ダウ平均は前週末までの9連騰で計3147ドル(8.2%)高、S&P500も同期間で10%強上昇しており、相場には短期的な過熱感が出ていました。トランプ政権の各国との関税交渉に加え、6〜7日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で当面の金融政策の行方を見極めたいとのムードも強く、積極的に買い上がる動きは乏しかったと言えます。

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