防衛省は人工知能(AI)を使った情報分析で、AI開発のSakana AI(サカナAI、東京・港)と実証事業を始める。省内の情報本部で情報の収集・分析の効率を高めるAIの導入を目指す。契約は7月29日付で締結した。
実証事業の内容
サカナAIが24日、発表した。同社は防衛分野を金融にならぶ注力領域と位置づけ人員を増やしている。本事業では、サカナAIの高度なAIエージェント技術を活用し、情報本部で担われる「総合分析業務」の抜本的強化を目指す。「情報収集の効率化」「分析能力の向上」「体系的な情報管理」の3つの観点から実証を行い、意思決定を支える高度で信頼性の高いAI機能の社会実装を推進する。
具体的には、情報分析官が日々処理する人工衛星画像や公開情報などの膨大なデータを、AIエージェントが自律的に収集・照合し、レポートを自動生成することで分析業務を効率化する。
サカナAIの防衛分野への取り組み
同社は3月に防衛省とドローンや携帯端末から情報を効率的に吸い上げて統合するシステムを開発する研究に関する契約を結んだと公表した。また、2026年3月13日には防衛装備庁防衛イノベーション科学技術研究所との間で委託研究契約を正式に締結している。研究の正式名称は「複数AIエージェントによる意思決定プロセス高速化のための研究」で、陸・海・空の全領域で発生する膨大なデータを統合的に分析するシステムを開発し、指揮統制システム(C2)の高度化を図るものだ。
同社は複数の大規模言語モデル(LLM)を組み合わせる技術に強みを持ち、7月にはこの技術を活用したサイバー防御の特化モデルを公開した。
政府の安全保障とAI活用方針
政府は2026年内に予定する安全保障関連3文書の改定で、安保にAIを活用する方策を打ち出す。AIの情報処理の力を自衛隊の指揮統制に使い、大量の情報を短時間で処理し現場への指示に反映させ、部隊が機動的に動けるようにする。
防衛省はサカナAIだけでなく、Preferred Networks(PFN)にも作戦環境情報分析支援の実証事業を委託している。サカナAIの情報処理技術とPFNの作戦立案支援技術を組み合わせることで、人間とAIの協働による意思決定の迅速化を進める体制を整えている。
機密情報の海外流出防止の観点から「AI主権(AI sovereignty)」を確立する意図があり、外国製AIと国産AIを組み合わせたハイブリッド戦略を想定している。
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