スイス・ツークに本社を置くDeFiプロトコル開発企業Secured Finance AGは、2026年3月2日にステーブルコインを預けるだけでルールベースの自動運用が行われるプラットフォーム「SF Yield Vault」を公開しました。第1弾として、日本円ステーブルコインJPYCに対応する「JPYC Vault」をイーサリアム(ETH)メインネット上で同時にローンチしています。
Secured Financeは、ブロックチェーン上で固定金利・固定期間の貸借を可能にするDeFiプロトコルであり、CEOの菊池マサカズ氏は昨年11月のCoinPost独占インタビューで「ステーブルコイン単体では不十分で、アセットマネジメントと一緒になって両輪で経済をドライブする」と語り、今後の柱として「Strategy Vault」構想を明かしていました。今回のSF Yield Vaultは、その構想を具体化したプロダクトとなります。
菊池氏はインタビュー時、初心者向けにUXを簡素化し「Vaultに預けるか引き出すかの二択ぐらいまでシンプル化する」と述べており、SF Yield Vaultはその設計思想を反映しています。ユーザーはVaultにJPYCを預けるだけで、スマートコントラクト上のルールに基づき自動的に貸し出しが実行され、金利収益の獲得を目指す仕組みです。
調達と運用の両輪
Secured Financeは2025年11月にJPYCの固定金利レンディング市場を開設する予定で、従来のDeFiレンディングで一般的な変動金利とは異なり、ゼロクーポン債の仕組みを応用した固定金利モデルにより「満期にいくら戻るか」を事前に把握できる点が特徴です。
さらに、今年2月にはDigiFTとの提携を通じてUBSのトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)「uMINT」を担保にJPYC・USDCを借り入れできる機能を実装し、トークン化RWAをDeFi上の担保として活用する仕組みを整えました。
SF Yield VaultはYearn V3(DeFi利回りプロトコルYearn Financeのオープンソース基盤)を活用して構築されたプラットフォームで、ステーブルコインごとに設計されたVault(金庫)を一覧から選べる構造です。Vaultはユーザーの資金をまとめて管理する器で、そこに組み込まれたStrategy(運用戦略)のルールに従い自動的に運用が実行されます。
今回同時に公開された「JPYC Vault」は、このプラットフォーム上の第1弾であり、組み込まれたStrategy「Secured Finance JPYC Lender」により、預け入れたJPYCが同社の固定金利レンディングプロトコルを通じて自動的に貸し出されます。預入時に発行されるVault持分トークン「yvJPYC」はオンチェーン上で保有・移転が可能で、将来的にはDeFi上での担保利用なども視野に入れています。
同社は今後、円建て・ドル建てステーブルコインへの対応拡大やマルチチェーン展開に加え、デルタニュートラル戦略やトークン化国債・MMFを活用する運用ルールなどを計画しています。

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