米航空宇宙局(NASA)の職員の約20%にあたる約3870人が退職を届け出たことが明らかになりました。この退職は、トランプ政権による支出削減策の一環として行われたもので、NASAの報道官が26日に読売新聞の取材に対して述べました。この退職者数は、NASA全体の職員数の約1万4000人からの大幅な減少を意味し、今後の有人月探査「アルテミス計画」や火星からのサンプル採取、さらには人工衛星を用いた地球の気候変動の監視にも影響を及ぼす可能性があります。
トランプ政権は、政府機関の人員削減を目的とした早期退職制度を新設し、9月までの給与を支払う条件で職員に自主退職を促しました。この制度により、NASAは今月25日まで自主退職者を募っており、職員数は約1万4000人にまで減少する見込みです。
NASAの報道官は、「我々にとって安全が引き続き最優先事項であり、組織の合理化や効率化と、月・火星探査や技術革新のバランスを取る」とコメントしています。さらに、トランプ政権は2026年度の予算教書で、NASAの予算要求を前年度比で約24%減の188億ドル(約2.8兆円)とすることを提案しており、これに伴う人件費のカットも求めています。
また、NASAの長官人事も揺れており、IT企業経営者のジャレッド・アイザックマン氏が長官候補に選ばれたものの、過去に民主党議員に献金していたことが問題視され、指名が撤回されました。現在は運輸長官のショーン・ダフィー氏がNASA長官代行を兼務しています。
このような状況は、NASAの将来の宇宙開発計画に深刻な影響を及ぼす可能性があり、職員の大量退職に対する懸念が広がっています。
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