米証券取引委員会(SEC)の新委員長、ポール・アトキンス氏は、5月12日に開催されたSEC主催の暗号資産(仮想通貨)円卓会議において、「SECにとって新たな時代が始まった」と述べ、仮想通貨規制の改善に向けた具体的な構想を示しました。
アトキンス氏は、前任のゲンスラー氏が行っていた執行措置を「場当たり的」と批判し、今後は市場参加者にとって実用性を重視した基準を設定する意向を表明しました。SECは、仮想通貨が有価証券に該当するかどうかの判断を行う役割も担っており、これまでの不透明な規制がイノベーションを阻害してきたと指摘しています。
仮想通貨政策の焦点
アトキンス氏は、仮想通貨政策の焦点となる3つの分野、「発行」、「保管(カストディ)」、「取引」について具体的な方針を述べました。
- 発行: アトキンス氏は、証券または投資契約とみなされる仮想通貨の流通に関する明確で合理的なガイドラインを策定する意向を示しました。これまで、SECは不動産投資信託(REIT)などの資産発行時の申請用紙を改訂してきた一方で、仮想通貨については更新していなかったことを指摘し、様式の見直しを行う意向を示しました。
- 保管(カストディ): SECは最近、バイデン政権下で導入された職員会計公報121号(SAB121)を撤回しました。このガイドラインは、銀行などが仮想通貨カストディ事業に参入する際のハードルとなっていたため、アトキンス氏はその廃止を評価し、カストディサービス市場における競争を促進するための新たな措置を検討する必要があると述べました。
- 取引: アトキンス氏は、証券市場の参加者がブロックチェーン技術を用いたイノベーションに参入するために海外進出を強いられるべきではないとし、条件付きの免除措置を検討する意向を示しました。
今後の展望
アトキンス氏は、SECが市場参加者との対話を深め、トランプ政権および議会と協力して、暗号資産に適した合理的な枠組みを構築していくことを約束しました。これにより、SECは仮想通貨市場における明確な規制ルールを確立し、投資家保護と市場の健全性を確保することを目指しています。
この新たなアプローチは、仮想通貨業界にとって重要な転機となる可能性があり、今後の規制の動向に注目が集まります。

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