国土交通省は、配車アプリを通じてタクシーを予約・乗車する際に発生する「配車手数料」の規制を進める方針を固めました。現在、ウーバーなどのアプリ事業者は自由に手数料を設定できる状況ですが、今後は認可制を導入することも視野に入れ、法令を整備する予定です。この規制は、運賃(メーター料金)や迎車料金との違いが分かりにくいという乗客の不満に応えるためのものです。また、将来的な手数料の上昇を抑制する狙いもあります。
タクシー料金の仕組み
タクシーは公共交通機関として位置づけられており、運賃や迎車料金は国交省が道路運送法に基づいて地域ごとに金額の上限を認可しています。タクシー各社はこの範囲内で料金を設定しています。一方、ウーバーやGOなどの配車アプリ事業者は、乗客とタクシー会社を仲介する旅行業者として位置づけられ、道路運送法の規制対象外となっています。そのため、配車手数料は旅行業法に基づくサービスとしてアプリ事業者が自由に設定できるのです。
例えば、ウーバーでは東京23区から乗車する際に1回100円の配車手数料がかかります。GOも都内や仙台市、福岡市などで主に100円程度の配車手数料を設定しています。
配車アプリの利用状況
国交省の調査によると、主に東京都中心部のタクシー利用客の約2割が配車アプリを利用しています。将来的には自動運転タクシーの普及が進むことで、走行しながら乗客を探す「流し」の営業が減少し、配車アプリの利用がさらに増加すると予想されています。
規制の必要性と慎重な制度設計
世界の配車サービス市場では、米ウーバー・テクノロジーズなどの一部プラットフォーマーが大きな影響力を持っています。日本の配車アプリ市場でこれらの企業が占有率を高めると、配車手数料の設定を通じてタクシー料金が大きく変動する恐れがあるため、国交省は規制の必要性を判断しました。しかし、配車アプリによるタクシー会社の業務効率化を妨げる懸念もあるため、慎重に制度設計を進める方針です。

![]() |