全国農業協同組合連合会(JA全農)は、政府が備蓄している米の流通状況について、3月に落札した19万9270トンのうち、5月8日時点で32%にあたる6万3266トンを卸売業者に出荷したと発表しました。これは前週の29%から3ポイントの増加ですが、全量の売り渡しは7月以降になる見通しです。コメの価格が高騰している中で、備蓄米の流通が遅れており、消費者に広く行き渡っていない現状があります。
政府の備蓄米入札とJA全農の落札状況
政府は3月に備蓄米の入札を2回実施し、合計21万トンを順次放出しています。そのうち、9割以上にあたる約20万トンをJA全農が落札しました。5月8日時点で、出荷済みを含めて全体の70%にあたる14万363トンは出荷の見通しが立っているとのことです。
出荷の遅れと流通の課題
JA全農によると、卸売業者からの出荷依頼を受けてから小売店に届くまでには2~3週間かかるとされています。JA全農は1日あたり2000~3000トンの玄米を卸売業者に届けているものの、卸売業者の精米処理能力に限りがあるため、6万トン弱の出荷の見通しが立っていない状況です。
政府の対応と今後の方針
農林水産省によると、3月中に入札が行われた備蓄米21万トンのうち、4月13日時点で小売業者に届いたのは3018トンで、わずか1.4%にとどまっています。このような流通の停滞を受けて、政府は入札に参加する業者の条件を緩和する方向で検討しています。現在は放出した備蓄米と同量のコメを原則1年以内に買い戻す条件がついていますが、この条件を緩めることで、より多くの業者の参加を促し、備蓄米を広く行き渡らせる考えです。江藤農相は9日の閣議後の記者会見で、「備蓄米がしっかり流通できておらず、改善すべき余地が多分にある」と述べました。

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