2025年5月3日、米中部ネブラスカ州オマハで開催されたバークシャー・ハザウェイの株主総会において、ウォーレン・バフェット氏が「グレッグ(・アベル氏)がCEOになるべき時が来た」と述べ、年内に退任する意向を表明しました。バフェット氏は今後もバークシャーの経営に関与し続けるものの、最終的な決定権はアベル氏に委ねられることになります。
バフェット氏は、アベル氏に対する信頼を強調し、「私よりもグレッグの方が会社が良くなると考えている」と語りました。アベル氏は鉄道など保険以外の事業を担当しており、2021年にバフェット氏から後継者に指名されていました。
バフェット氏の退任表明を受け、会場に集まった約2万人の株主からはスタンディングオベーションが起こりました。バフェット氏は1965年に当時繊維会社だったバークシャー・ハザウェイを買収し、60年にわたって同社を率いてきました。彼は保険事業などへの多角化を進め、バークシャーを世界有数の投資持株会社に成長させました。現在、バークシャーの時価総額は1兆1600億ドル(約170兆円)で、世界で8位の規模を誇ります。
バフェット氏は、将来有望な企業を早期に見抜いて投資し、長期保有することで莫大な資産を築いたことから「投資の神様」と称されています。彼は「自分が理解できない企業には投資しない」といった原則を掲げ、短期的な利益に左右されない独自の投資哲学で広く尊敬を集めています。
また、バフェット氏は2019年以降、日本の5大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)の株式を購入したことでも注目を集めており、現在バークシャーはこれらの商社の株式を8~10%弱保有しています。
米ブルームバーグ通信によると、バフェット氏の資産は現在1690億ドル(約24.5兆円)で、世界で5位にランクされています。彼は出生地のネブラスカ州オマハにちなんで「オマハの賢人」とも呼ばれています。

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