トランプ米大統領が27日に示唆した所得税の引き下げに関する考えは、年収20万ドル(約2900万円)未満の層を対象としたもので、関税収入を活用するというものです。彼は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」において、関税が発動されることで多くの人々の所得税が大幅に引き下げられる可能性があると述べています。
経済学者の懸念
トランプ氏は、これまでにも関税収入が所得税収に代わる可能性があると主張してきましたが、経済学者からはその実現可能性に疑問の声が上がっています。特に、彼の関税措置は世界経済に混乱をもたらし、米国内では物価上昇や景気後退に対する懸念が広がっています。
安全資産としてのドルと米国債
米国の安全資産としてのドルや米国債に対する信頼性についても懸念が高まっていますが、ベッセント米財務長官は、これが必ずしも信頼喪失を意味するわけではないと指摘しています。彼は、短期間の市場の動きは統計上のノイズに過ぎない可能性があると述べ、トランプ政権が米国債市場の安全性を示すための基盤を整えていると主張しました。
世論調査の結果
さらに、CBSニュースの世論調査によると、トランプ政権が物価抑制に十分取り組んでいないとの回答が69%に達しており、彼の経済運営に対する支持率は低下しています。トランプ氏は、2017年に成立した所得税減税の延長を目指しており、これにはチップ収入や社会保障給付金に対する課税の減免、法人税率の引き下げも含まれています。
貿易協定に向けた取り組み
ベッセント氏は、米国の個人消費が依然として堅調であり、二国間貿易協定の締結に向けた取り組みが進んでいることを強調しました。特に、中国を除く主要貿易相手国との交渉が進行中であり、今後90日間での交渉プロセスが整ったと述べています。
米中貿易協議の現状
トランプ氏は米中間での貿易協議が進んでいると主張していますが、中国側はこれを否定しています。ベッセント氏は、トランプ氏と習近平国家主席の直接対話については把握していないとしつつ、中国との交渉には前進の道筋があるとの見解を示しました。
貿易協定の締結に向けて
貿易協定の締結には数カ月を要する可能性があるものの、原則合意に達し、貿易相手国がその取り決めを順守すれば、関税が再び最高レベルに戻る事態を防ぐことができると述べています。

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