公正取引委員会は12日、2024年度に下請法違反で勧告した件数が21件に達し、これは平成以降で最多であると発表しました。前年の2023年度は13件だったため、大幅な増加となっています。勧告の対象には、家電量販大手のビックカメラや出版大手のKADOKAWA、菓子メーカーのシャトレーゼが含まれています。
具体的な違反内容としては、下請け業者に支払う代金を不当に減額したり、フリーランスのライターに対して原稿料を著しく低く抑えたりする事例が挙げられます。また、部品製造に必要な金型を無償で長期間保管させる違反も多く、トヨタ自動車や日産自動車の系列会社に対しても勧告が出されています。
公取委によると、勧告の件数は過去数年間で増加傾向にあり、2020年度は4件、2021年度も4件、2022年度は6件、2023年度は13件でした。2024年度の増加は、違反行為と事業者名を公表することによる周知の重要性を考慮し、勧告に向けた調査に注力した結果とされています。
さらに、勧告には至らないものの、下請法違反の恐れがある場合に出される指導は8230件に上り、支払いの遅延が最も多い違反行為として報告されています。公取委は、中小企業の賃上げ余力を生み出すため、下請法による取り締まりを積極的に進めています。

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