テンセント、DeepSeekなどAI新興に出資 ゲームの成功再演へ

※本サイトはプロモーションが含まれています
※本サイトはプロモーションが含まれています
Stock

中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)がDeepSeek(ディープシーク)など人工知能(AI)の新興企業に出資している。自前の開発の遅れを補完する狙いもある。M&A(合併・買収)をテコに成長した主力のゲーム事業の成功をなぞれるか。

「1年前に船に乗ったと思っていたら漏水していると気づいた。現在も船に立って乗っている感覚で安心して座れない。速く進む船にしたい」。馬化騰(ポニー・マ)会長のこの言葉は、テンセントがAI分野で抱える焦りと危機感を如実に表している。同社は今、かつてゲーム事業で成功を収めたM&A戦略をAI分野で再現しようとしている。

DeepSeekへの出資協議

テンセントとアリババグループが、AIスタートアップDeepSeekの初回資金調達ラウンドへの参加に向け協議していることが明らかになった。事情に詳しい関係者によると、テンセントは最大20%の株式取得を提案したが、DeepSeek側はこれほど大きな経営権の譲渡には消極的で、協議は進行中である。

DeepSeekの企業価値は200億ドル(約3.2兆円)を超える可能性があり、わずか数日前に報じられた100億ドル(約1.6兆円)という評価額から倍増している。評価額の目安としては、約400億ドル(約6兆3800億円)規模の上場企業で同業のミニマックス・グループなどが参照されているという。

ゲーム事業の成功モデル

テンセントはM&Aをテコに世界最大のゲーム企業へと成長した。売上高は2024年12月期までの10年間で4倍に増え、ソニーグループのゲーム事業に迫る規模となっている。買収を重ね、230社に及ぶ世界中の出資先に生成AIなど必要な機能を提供して成長を目指す。

テンセントのゲーム事業の成功は、海外の有力ゲーム開発企業への出資や買収によって築かれてきた。2008年に米Riot Gamesに3億5000万ドルを投資し、後に完全買収。2016年にはフィンランドのゲーム開発会社Supercellの84.3%の株式を86億ドルで取得した。さらにフランスのユービーアイ・ソフトへの出資拡大や、日本のビジュアルアーツの買収など、グローバルなM&A戦略を展開してきた。

AI投資の拡大

テンセントは今年、AI関連支出を少なくとも倍増し、360億元(約8320億円)に引き上げる計画だ。同社はゲーム・ソーシャルメディア大手として、AIを将来の成長を牽引する中核技術と位置づけ、積極的な投資と開発を進めている。

テンセントの投資戦略は、AI分野でも幅広く展開されている。AI半導体スタートアップの燧原科技への出資や、ステップAIの25億ドル資金調達への参加など、多岐にわたる投資を行っている。同社は「発展段階の成長企業に出資する」という戦略を掲げ、投資先が自身で資金調達できるようになれば出資を終了するという方針を取っている。

自社開発AIとの併用

テンセントは自社開発AI「混元T1(HunyuanT1)」とDeepSeekをAIアプリに採用し、使い分けを可能にしている。同社の最新マルチモーダルAI「Hunyuan-Vision-1.5」は、権威あるAI性能評価プラットフォームLMArenaにおいて世界トップ3、国内第1位にランクインするなど、自社開発でも成果を上げつつある。

しかし、AI投資拡大の一方で、期待ほどの成果を上げられていないとの指摘もある。アリババと同様に、テンセントもAI事業に巨額の資金を投じているが、減益懸念や株安も進行している。

今後の展望

テンセントは2025年売上高の10~14%程度をAIインフラを含む設備投資に振り向ける計画で、アナリストが予想する今年の売上高に基づけば、100億ドル(約1兆5000億円)を超える可能性がある。同社の投資の方向性は、ゲームAI、コンテンツ制作、エンタープライズサービス、フィンテックなどのコアシナリオを中心としている。

テンセントがゲーム事業で成功を収めたM&A戦略をAI分野で再現できるかどうかは、今後の最大の焦点である。同社は「規制はイノベーションの障壁であってはならない」との姿勢を示しており、AI分野でも積極的な投資と買収を続けるとみられる。

PR
moomoo証券