2025年7月16日、中国北京市の第2中級人民法院は、アステラス製薬の60代の日本人男性社員に対し、「スパイ活動を行った」として懲役3年6月の実刑判決を言い渡しました。この判決は、金杉憲治駐中国大使が同日、記者団に明らかにしました。
判決公判では、スパイ活動の具体的な内容について裁判所から一定の説明があったものの、金杉大使は「透明だといえるレベルではなかった」と述べ、現地の駐在員らには不透明な司法制度が影響を与えていることを指摘しました。男性は2023年3月に拘束され、2024年8月に起訴され、同年11月に初公判が開かれましたが、具体的な起訴内容は明らかにされていません。
金杉大使は、この有罪判決が日中関係に与える影響を懸念し、「早期釈放を求め、男性の支援を行っていく」と語りました。日本政府は、首脳レベルで男性を含む拘束された邦人の解放を中国に求めてきましたが、具体的な進展は見られていません。
この事件は、近年の中国における外国人に対するスパイ活動の取り締まりが強化されている中で発生しました。中国の反スパイ法が施行されて以来、少なくとも17人の日本人がスパイ行為を理由に拘束されており、その中には現在も拘束されている者がいます。

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