ロシアの国営製造業複合企業ロステック(Rostec)は、年末までにルーブル連動トークン「RUBx」と決済ハブ「RT-Pay」を導入する計画を発表しました。このプロジェクトは、ロステックが同国の軍産複合体において重要な役割を果たしていることでも知られています。
RUBxトークンの概要
RUBxは、トレジャリー口座に保有される1ルーブルを表すトークンで、ロステックが単独の発行者兼運用者として運営します。このトークンは、法律に基づく「ルーブル建ての実質的な義務」によって資産価値を固定します。RUBxはトロン(Tron)ブロックチェーンを基盤としており、ロステックは契約コードをGitHubに投稿する意向を示しています。また、ブロックチェーンセキュリティ企業CertiKによる独立監査も依頼しています。
RT-Payの機能
RT-Payはロシアの銀行システムに直接接続され、企業や個人が営業時間外でも数秒で資金を移動したり、スマートコントラクトに資金をロックしたりすることが可能です。ロステックによれば、RT-Payはマネーロンダリング対策およびテロ対策の規則をクリアし、ロシア中央銀行の要件も遵守しています。
プロジェクトの背景と展望
このプロジェクトは、ロシアが中央銀行発行のデジタルルーブルの試験運用を行っている時期に実施されます。ロシアは暗号資産分野に積極的であり、ロシア中央銀行は今年、適格投資家への暗号資産関連商品の提供を許可しました。さらに、ロシア最大の銀行であるズベルバンクとモスクワ証券取引所は、ビットコインに連動した商品を立ち上げています。
ロステックのRUBxプロジェクトのドミトリー・シュマエフ氏は、段階的な導入によって決済摩擦の高い分野をターゲットにし、その後拡大していく計画を述べています。暗号資産は、ロシアの石油取引に対する西側諸国の制裁を回避する手段としても利用されており、一部のロシア石油会社はビットコインやイーサリアムを使用して、中国元やインドルピーでの支払いをルーブルに換金しています。

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