日本の宇宙開発にまた新たな一歩が刻まれました。2025年10月26日午前9時、鹿児島県の種子島宇宙センターから、H3ロケット7号機が予定通りのスケジュールで打ち上げられました。
打ち上げの様子は、ゆっくりと上昇していくロケットを背景に、観覧エリアから大きな歓声が上がる中で進行。カウントダウンの後、力強い光とともにロケットが空へと飛び立ちました。
約14分後、搭載されていた新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」(通称:こうのとり後継機)が計画通りの軌道上で分離に成功。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、この打ち上げをもってH3ロケットの5機連続打ち上げ成功を達成したと発表しました。
HTV-X1とは?次世代の日本製宇宙補給船
HTV-X1は、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を目的とする新型宇宙補給機です。従来の「こうのとり(HTV)」シリーズから大幅に改良され、軽量化・再利用性・輸送能力の強化を実現しています。
今回のミッションでは、ISSへ食料や実験装置などの重要物資を届けるだけでなく、ステーションから切り離された後も、超小型衛星の分離や新技術の実証など、複数の追加ミッションを予定しています。これにより、日本の宇宙開発技術はさらに実用段階へと進化することになります。
H3ロケットの安定性が示す「信頼の技術力」
H3ロケットは、三菱重工とJAXAが共同開発した次世代の主力ロケットです。2023年の初号機打ち上げから改良を重ね、今回で5回連続の成功を記録。国内外の宇宙関係者からは「H3の信頼性は確立された」と高い評価を受けています。
また、H3は打ち上げコストの大幅削減と高い柔軟性を兼ね備えており、今後は政府衛星や民間衛星の打ち上げ需要にも対応が可能。日本が独自の宇宙輸送インフラを確立するうえで、極めて重要な役割を担うことになります。
日本の宇宙開発が切り開く未来
今回の打ち上げ成功は、単なる技術的成果にとどまりません。日本が自前の宇宙輸送手段を安定的に運用できることは、将来の月面探査や火星ミッションにもつながる重要な基盤です。
JAXAは今後、HTV-Xシリーズを活用した月軌道補給ミッションや、新たな国際協力プロジェクトへの参加を視野に入れています。H3ロケットとHTV-X1の成功は、その第一歩となりました。

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