武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長最高経営責任者(CEO)は8日、今後5年間で米国に300億ドル(約4兆3000億円)を投資する方針を示しました。この投資には製造拠点への資金投入に加え、研究開発費も含まれるとしています。トランプ米政権が医薬品への関税を検討していることを受け、世界の製薬大手が米国への投資計画を相次いで発表しています。
投資計画の概要
ウェバー氏は8日にオンラインで行った決算説明会で、「今後5年で米国に300億ドルを投資する予定だ」と述べましたが、具体的な投資計画の詳細は明らかにしませんでした。彼は「製造拠点をアップグレードし、最高の効率と生産性を達成できるようにする。研究開発費も一部含まれている」と説明しました。
武田薬品は、米国内にミネソタ州やカリフォルニア州などに7つの製造拠点を持ち、主力薬である潰瘍性大腸炎・クローン病の治療薬「エンティビオ」や血漿分画製剤を米国市場向けに製造しています。
ウェバー氏は、米国への投資について「現在のプレゼンスを維持するため、そして会社をこれからも成長させていくためのものだ」とコメントし、トランプ氏が表明している医薬品関税リスクへの対策にもなると指摘しました。
欧米製薬大手の投資動向
最近、欧米の製薬大手でも大型の米国投資計画が相次いで発表されています。スイスの製薬大手ノバルティスとロシュはそれぞれ今後5年間で230億ドル、500億ドルの投資を行うとしています。また、米製薬大手のイーライ・リリーは270億ドル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は今後4年間で550億ドル以上を投資する計画を発表しています。
これらの動きは、米国市場の重要性を再確認させるものであり、製薬業界全体が今後の成長を見据えた戦略を進めていることを示しています。武田薬品の大規模な投資計画も、その一環として注目されるでしょう。

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